受験生の皆様 受験生向けの学科紹介
どんな学科?
人間とその文化や歴史について幅広く学ぶ学科です。Anthropology(人類学/人間学)という学問は、人間について総合的に探究する学問です。いま日本で「人類学」という名前の付いた学部・学科は南山大学の本学科のみです。人類文化学科の前身の人類学科は、南山大学設立の3年後の1952年からあり、60年を超える長い歴史をもっています。卒業生も、大学教員、中高の教員、マスコミ、行政職、企業など、各界で幅広く活躍しています。人類文化学科は、南山大学でもっとも伝統のある学科のひとつです。
現代では、異文化理解や国際感覚がこれまで以上に求められています。では、そうしたものは、英語や欧米を知ることだけで養えるでしょうか。人類文化学科では、はっきりNOと答えます。欧米だけでなくアジアやアフリカをふくむさまざまな地域の文化や歴史を知るとともに、異文化だけではなく自文化(日本や地元)を見つめなおすことこそ、ほんとうの国際感覚を養う上で、不可欠なのです。人類文化学科では、グローバルとローカル、海外と地元とをともに深く知り、それを結びつけて、自らについて考える柔軟な力を養います。
どんな学生に入ってきてほしい?
- 人間とは何か、人間の歴史・社会・文化・言語とはどのようなものか、に関心がある。
- 異文化の理解や異文化との交流に関心があり、それらに積極的に取り組みたい。
- 環境問題や格差の問題など、現代社会の諸問題とその解決に関心がある。
何をどう学ぶ?
人間とその文化について、幅広く、根本から、学びます。たとえば、アイヌ文化に関心があるとしましょう。学科には(そして南山大学の他の学科にも)アイヌの専門家はいません。しかし、アイヌ文化は、先住民文化のひとつであり、もともと狩猟民の文化であり、かつての縄紋文化とも関わりがある、といった点で、学科の複数の教員の専門分野と重なっています。また、アイヌ人は、松前藩との交易で栄え、日本による北海道の開拓や支配の中で生活圏を奪われていき、差別もされた、といった点で、経済史・政治史・法制史などから考えるべき特徴ももっています。アイヌの人々と沖縄の人々は、遺伝的に近いという研究もあります。また、アイヌ民族は、日本だけでなく、ロシアにも居住しています。こうしたアイヌのさまざまな特徴を知る上では、日本の北海道にいるアイヌ人を、広い地理的・歴史的・文化的な視野から多面的に捉える必要があります。人類文化学科では、ある時代や地域の文化を、そうした広い視野から理解する視線を養います。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、といった区別をこえて、国や民族といった単位もこえて、人間そのものについての知識を深めるのが、人類文化学科での学びです。
また、人類文化学科では、哲学や言語学も重要な学びの領域です。人間は文化をもつ動物です。でも、文化をもち、言葉を話し、いろいろなことを考える人間という存在は、はたして幸せな動物でしょうか、それとも不幸な動物でしょうか。たとえば、人間だけが愛や幸福について語ったり考えたりできます。しかし、他方で、人間だけが自分の不幸せに悩みます。それは人間が文化をもっているからです。人間は科学技術の発展により、豊かな物質文化を築きました。しかし、他方で、核戦争の危機や深刻な環境破壊をもたらしたのも、科学技術という文化です。文化をもつ人間という存在を、根本から考える上では、あれこれの具体的な歴史や社会を知るだけではなく、人間とは何か、文化とは何かといった点を、突き詰めて考えることが不可欠です。人類文化学科では、さまざまな時代や地域の文化を取り上げながら、こうした根本的な問題を考えようとします。
どんなカリキュラム?
学科の学びは、哲学、言語学、文化人類学、考古学・文化史という4つの柱から成り立っています。1年~2年では、4つの柱に共通する人類文化の基礎的な内容と、各領域の概論的な内容を中心に学びます。2年~3年では、それぞれの柱の専門的な内容を学ぶ科目と、たがいの領域を横断するような科目を選択して学びます。3年からはゼミがはじまり、2年間おなじ教員のゼミで学びます。そして4年のとき、卒論(研究プロジェクト)を作成します。卒論は、4つの柱のどれかを選んで、ひとつのテーマで知識と考察を深めます。ただ、幅広く学ぶことが大切なので、ひとつの柱だけを勉強して卒業するようなカリキュラムではありません。幅広く、かつ、どこかを深める、というのが本学科の学びの基本スタイルです。
机上での学び(デスクワーク)だけではなく、現場に行き、少人数で歴史・文化・社会について調査実習を行う「フィールドワーク」や、発掘のノウハウを学ぶ「考古学実習」などの実習系の科目を用意しています。また、少人数で英語・中国語・くずし字などの文献を読む「文献資料講読」という授業もあります。授業のクラス規模も、授業の内容も、多彩な興味・関心に応えるものとしています。自身の関心にあわせて、他学科の科目もおおく履修できるように配慮しています。