私の専門は、政治学、国際関係論そして地域研究の視点から現代東アジア社会を多角的に分析することです。大学院では、現代東アジア研究や東アジアの政治外交に関する研究テーマで、博士後期課程と博士前期課程で指導教員をつとめています。2009年に南山大学に着任して以来、主指導教員となった複数の大学院生が博士号と修士号を取得しています。
　私自身は「現代中国政治と民族問題」を研究テーマとしており、多民族国家中国が社会主義システムのなかで如何にして国家統合を保持しているのかという問題を、政治学、国際関係論、地域研究の観点から分析しています。中国は56民族による多民族国家で、このうち漢族を除くウイグル、チベット、朝鮮族など55民族を少数民族と総称しています。中国の少数民族は国境周縁部に集居する特徴を持っており、国境を接する周辺国には、中国の少数民族と同じ民族や同じ宗教を信仰する民族が国境をまたいで居住しているケースが多く、中国の統治者は国家統合を確保するための安全保障問題として民族問題を認識し、これに対処しています。中国の民族問題は単に中国国内の問題としてだけでなく、東アジア地域全体の問題として議論していく必要があるわけです。詳しくは、国分良成編『中国は、いま』（岩波新書、2011年）のなかで星野が執筆している第5章「周縁からの叫び−マイノリティ社会と国家統合」を一読してください。