私の専門は人的資源管理論および組織行動論と呼ばれる，企業の人事制度や働く人々の態度・行動を研究対象とした経営学の１分野です。特に，日本企業の人事管理やそれを働く人々がどう受け止めているかについて研究しています。
　日本企業は労働生産性が低く，長時間労働が常態化しているといわれてきました。企業で働く従業員が仕事ばかりで十分な休養を得られなかったり，家庭などのプライベートな時間を確保できないと，仕事に集中できなくなり企業にとっても痛手です。このため企業も労働時間の適正化に力を入れています。しかし，労働時間を短くなり残業代が減ってしまうことに抵抗感がある従業員や，「長時間会社にいること」＝「会社への忠誠を示すこと」という考え方から，労働時間の削減に前向きではない人や企業もあります。
　このように，一つの人事制度をとってもその受け止め方は多様であり，そのメカニズムは非常に複雑です。複雑故に興味深い人事管理に着目し，様々な人事制度の導入がどのように従業員に受け止められるのかについて，質問紙調査やインタビュー調査を通じて実証的に検討しています。戦略的人的資源管理論，組織的公正理論，キャリア論等の理論枠組みを用いて，働き方改革，ワークライフバランス，女性活躍推進，キャリア自律といった企業が直面する課題について，時には企業と協力しながら研究に取り組んでいます。