国際貿易の利益と貿易・国内政策に関する理論的研究をしています。ある現象が生じるメカニズムを解明するためには、数理モデルを用いた理論的分析が大変有効です。最近は以下のような研究を行っています。
　自由貿易協定や関税同盟といった地域貿易協定の締結が、各国および世界経済に与える影響について研究しています。WTO（世界貿易機関）のルールの下では、国内政策は内国民待遇の原則に従うので、国内政策は国内産品と輸入品を同等に扱います。しかし、外国企業にとって対応が難しい国内政策は、場合によっては貿易制限的な効果を生む場合があります。国内政策として、自動車の排気ガス規制や製品の安全規制といったような基準認証制度の役割に焦点を当てて分析しています。
　水産資源や森林資源のような持続的利用が可能な再生可能資源の貿易と資源管理政策の関係に関する研究をしています。一国内の資源管理政策によって管理できる森林資源のような再生可能資源もあれば、回遊性のある水産資源のように複数国で利用される再生可能資源もあります。また、再生可能資源を用いた財は貿易が活発で、輸出国においては外貨獲得のために再生可能資源の利用に強い圧力がかかる傾向にあるので、適切な資源管理が不可欠です。貿易利益と資源利用のバランスを考えた貿易・資源管理政策のあり方について考察しています。
　研究成果は、英語で海外に発信してこそ世界の多くの人の目に触れます。研究成果を海外学会で報告して、英語論文としてまとめて海外の学術専門誌に掲載しています。