名古屋城下町を中心とする、江戸時代の尾張藩領の経済史を研究している。
　現在の研究は2つに分かれる。
　ひとつは、木曽川をはじめとする尾張の河川交通の実態解明である。『尾西市史』の執筆に際し、美濃路の宿駅で木曽川の渡船場であり、川湊でもある「起」を調査したことから、木曽川の上下水運と渡船の状況とそれに対する尾張藩の政策の変化を博士論文でまとめた。その後、木曽川での運送中に破損した筏の回収や海上での難破船の処理について、最近では城下町内の水路を維持するのに必要な浚渫作業の方法や負担について、研究した。
　これに加えて最近は、名古屋城下町の経済を支えた商家の変遷についても調査を進めている。江戸時代のみならず明治初期にも範囲を広げ、政府と様々な経歴の商家が名古屋経済の発展に果たした役割の考察を始めている。
　また、これらの研究を進める上で、名古屋城下町に残る町触を収集し、その内容を整理する必要も感じている。