南山大学 国際教養学部 Faculty of Global Liberal Studies

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講演会実施報告 2026年4月21日(火)「麻薬規制と国際協力」

2026.05.15

▼講演会

主催:国際教養学科
日付:2026年4月21日(火)
場所:G棟30教室
内容:「麻薬規制と国際協力」
講師:藤野彰氏(公益財団法人 ⿇薬・覚せい剤乱⽤防⽌センター(DAPC)理事長)
参加者:「国際協力論」(授業担当者:道田悦代)「グローバル化と国際協力」(授業担当者:吉田信)、「社会学」(授業担当者:林徳仁)の受講者 計245名

概要:

 UNODC(United Nations Office on Drugs and Crime)で長年国際麻薬規制に携わってこられ、現在麻薬・覚せい剤乱用防止センター理事長の藤野彰氏に、麻薬規制分野における国際協力と、日本の麻薬の課題について講義をいただいた。国際的なネットワークを通じて生産される薬物の問題に、国際社会がどのように対処してきたかの歴史を概観し、国連として実施する薬物問題への施策、原料供給地である開発途上国での支援など具体例をお話頂いた。海外だけでなく、日本での薬物問題の話題も踏まえ、QAを通じた活発なやりとりが行われた。

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学生のコメント:

 本日の講義では、麻薬の歴史や各国による規制の変遷、そして今後の課題について学んだ。特に印象的だったのは、麻薬は正規の医療でも使われるが、戦時中には戦争遂行の目的でも使用され、覚せい剤も製薬会社によって開発されていたという点である。また、1900年代初頭には薬物の生産や輸出がほとんど管理されておらず、誰でも自由に運搬できる無秩序な状況だったことにも驚いた。

 現在でも、麻薬は原料の取れる国から輸入され、世界各地で密かに製造・流通しており、日本で発見される多くも海外由来である。このことから、グローバル化によってモノの移動が容易になったことによって麻薬の生産や流通も拡大してしまっているのだなと感じた。一方で、国連は単なる取り締まりだけでなく、生産者への支援にも取り組んでいることも学んだ。多くの生産者は生活のためにやむを得ず栽培しているため、代替開発として別の作物の栽培を促したり、陶磁器や紙製品を含む多様な商品をつくり、生計を立てられるよう支援している。しかし、それを実現するには現地市場の開拓や栽培技術の普及、さらには生産者のモチベーション維持など多くの課題があると分かった。作物栽培の場合も、代替の植物の育て方をただ教えればいいというわけではなく、市場経済や教育、心理学など様々な要素が複雑に絡み合っている点が支援の難しさを表していると感じた。今回、現場を実際に見て活動している国連関係者の具体的な話を聞いたことで、麻薬問題の複雑さと現実的な課題への理解がより深まった。(A.M.さん)

 

 今回の授業を通して、薬物問題は個人の問題にとどまらず、国境を越えた国際的な問題であると強く感じた。特に印象に残ったのは、医療現場において使用される薬物と、乱用される薬物が同じである場合があるという点である。このことから、単純にすべての薬物を禁止するのではなく、適切に管理しながら利用していく必要があるということを理解することができた。また、各国が薬物に対してそれぞれ異なる状況や価値観を持つ中で、共通のルールを作っていくことが重要だと思った。

 さらに、フェンタニルといった新たな合成薬物の登場などにより、今までの規制の枠組みだけでは十分に対応できない現状にも課題を感じた。時代の変化に応じて制度を柔軟に見直し、より効果のある対策を講じていくことが必要であると考えた。また、規制だけでなく、教育を通じて人々の意識を高めることも重要であり、薬物に関する正しい知識を広めることが乱用防止につながるのではないかと思った。今回の授業では、薬物問題の複雑さと、それに対処するための国際協力の必要性について考えさせるものであった。(S.Sさん)

 

 今回の授業では、国際的な薬物規制の歴史と、その中での国際機関の役割について学んだ。特に、1909年の上海会議から始まり、1961年の麻薬単一条約へと発展していく流れを見て、薬物問題がかなり早い段階から国際的に扱われてきたことに驚いた。単なる国内問題ではなく、国境を越えて広がる問題だからこそ、国際的な枠組みが必要とされてきたのだと感じた。また、世界保健機関や国連薬物・犯罪事務所、国際刑事警察機構など、複数の機関がそれぞれ異なる役割を担いながら連携している点が印象に残った。医療、取締り、国際協力といった異なる分野が結びつくことで、初めて対策が機能するという複雑さを感じた。

 さらに興味深かったのは、薬物に対する考え方が変化してきている点である。以前は「中毒者への対処」が中心だったものが、「乱用防止」へと重点が移り、現在では早期発見や治療、社会復帰といった支援も重視されている。この変化から、単に規制するだけでなく、人間の問題として包括的に対応しようとする姿勢が見えてきた。一方で、フェンタニルのような新たな薬物の問題や、国ごとの対応の違いを見ると、国際的な枠組みがあっても完全に問題を解決するのは難しいとも感じた。特に、違法取引が国境を越えて行われる中で、各国の協力が不十分だと対策の効果も限定的になってしまう。今回の授業を通して、薬物問題は単なる規制の問題ではなく、医療・社会・国際政治が絡み合った複雑な課題であると理解できた。同時に、国際協力の重要性と、その難しさの両方を実感する内容だった。(R.Kさん)

 

 国際薬物規制の歴史を見ると、上海会議や万国阿片条約などを通して、ルールを強化し問題を解決するという考えが基本にあったと分かる。過去に規制や取り締まりが緩い状況で犯罪組織が拡大してきたためである。しかし、厳しい取り締りを潜り抜けるために、コロンビアで薬物の密輸入に潜水艇が使われる事例もあることを知った。これは犯罪組織が簡単に薬物を密輸入できなくなっている証拠ともいえるが、取り締まりの対象も変化していることがわかった。

 その中で、黄金の三角地帯における代替開発は重要であると感じた。ただし、農民に別の作物を作らせるだけでは不十分で、売れる市場を先に作る必要があるという点が特に印象に残った。逆に言えば、そこまで整えなければ違法作物に戻ってしまうということであり、国際社会の関わりが中途半端だと持続しないのではないかという課題も見える。

 さらに、THCやフェンタニルのように、危険だが医療には不可欠という薬物の存在は、現在の規制のあり方を問い直していると感じた。正規の医療品麻薬の生産・製造・流通・適正使用には厳しい規制をかけつつ促進するが、不正な生産や流通はこれを防がなければならない。このように、すべての薬物に一律に対応するのではなく、用途やリスクに応じた管理が必要だと考える。今後は、取り締まり、開発支援、医療利用を切り分けて考え、それぞれをバランスよく進めることが、より現実的な国際協力につながるのではないかと感じた。(A.Sさん)

 

 今回の講義で印象に残ったことは代替開発である。なぜなら、この問題は世界中の色々な国の様々な機関が多角的に関わる必要がある重要な課題だからである。しかしながら、これはこの代替開発に限らないが、たとえ多角的な協力によって産品を作ることができたとしてもそれを持続できなければ意味はないと考える。つまり、山岳民族のような人々が自身の力で産品を作り売るという力を身につけることが重要なのだ。そのためには、まず大前提としてそれらの産品が売れるような市場を作ること、人々に読み書きや計算の能力を身につけてもらうために勉強ができる環境を整える必要があると考える。また、講演会全体を通しては薬物規制の困難さを感じた。元々が医療用であったことや若者の乱用防止などの目的から使用が認められている国々もあり、完全な廃止ということが難しい。しかしながら、薬物の影響は甚大であり、日本で行われているような標語などの取り組みによって、そもそも薬物に手を染めさせないということが重要であると感じた。(U.R.さん)

 小学校、中学校のときに薬物乱用教室を毎年受けていたが、その内容は薬物を摂取してしまったらどうなるのかという点に注目した講義であったため、今回の講義で世界各地の薬物工場のことや取締局の存在について、知らなかったことばかり聞くことができた。国連規模で薬物密造を命がけで止めようとしている団体に属している外国の方が暗殺されてしまったことがとても印象に残っている。それ程、薬物密造されている地域は危険であることを理解したが、命が失われるほど治安が悪いという問題はどうにかして解決しなければいけないと感じた。また、栽培している人々も貧しいため作業をやめられないのであって、栽培したくてしているわけではないということもとても印象に残っている。ただ、栽培所をなくしたら解決する単純な問題ではないことがわかった。(O.N.さん)

 乱用者がゾンビ化してしまうフェンタニルについて、近年はアメリカ・カナダで中心的に問題となっており、さらに名古屋のフェンタニル拠点があることをたびたび報道にて拝見していたため、非常に関心のある話題であった。そもそもフェンタニルは強力な医療用鎮痛剤であると知り、乱用の危険性と医療的実用性の均衡を取るために法整備を先取りすることの難しさを改めて感じた。日韓では、ADHDの不注意・衝動性の症状を抑えるための薬であるコンサータが集中力を高める目的から、健常者にも使われていることが問題視されている。これは本来必要とする人たちの薬剤がなくなるだけでなく副作用によるリスクがあるので、人々が薬の危険性に関する知識をつけるだけでなく良識を踏まえることも大事であると思う。(W.M.さん)

 

 講演の中で特に印象に残ったのは、代替開発への道という考え方である。まっとうに生きていく道があれば人々はそちらを選ぶはずであり、それが持続可能なものでなければ意味がないという指摘は非常に納得できた。違法な薬物生産に関わる人々も、生活のためにやむを得ずその仕事を選んでいる場合が多く、単なる取り締まりだけでは問題は解決しないのだと感じた。

 事例として、農産品だけでなくマカダミアナッツや紙製品、磁器や陶器など多様な生産が行われたという点が興味深かった。しかし、それらは作るだけではなく、商品が売れる仕組みを作らなければ、農民たちは安定した収入を得られず、結局元の違法な生産に戻ってしまう可能性がある。代替開発は単なる生産支援ではなく、マーケットづくりまで含めた取り組みであると学んだ。また、機械の指示を読むために教育が必要だという点から、学校の整備の重要性も感じた。技術だけでなく、読み書きや計算などの知識があってこそ、新しい仕事を継続的に行うことができる。さらに、農民が長期的に続けられるようにインセンティブを与えたり、プロのデザイナーが関わって商品価値を高めたりする工夫もあり、単なる援助ではなく自立を支える仕組みづくりが大切だと思った。この講演を通して、薬物問題は犯罪の問題であると同時に、貧困や地域開発とも深く結びついていると感じた。(Y.M.さん)

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