南山大学 国際教養学部 Faculty of Global Liberal Studies

深めて!南山GLS 学生の活躍 講演会レポート

講演会実施報告 2024年5月15日(水)「入管政策と外国人労働者の抱える問題」

2024.05.20

▼講演会

日時:2024年5月15日(水)11時05分〜12時45分
場所:Q313
演題:「入管政策と外国人労働者の抱える問題」
講師:大坂恭子弁護士(ラヴィーダ法律事務所)
参加者:国際教養学部生(参加人数21名)

吉田先生からの一言:

「多元文化論」の授業の一環として名古屋で外国人労働者の問題に長く携わってこられている大坂恭子弁護士をお招きし,「日本の入管政策と外国人労働者の抱える問題」という題でご講演いただく機会を設けました。少子高齢化の進展にともない労働力不足が顕著になっている現在,日本の外国人労働者の受け入れを今後どのように進めていけばいいのか,その現状と課題について理解を深める機会となりました。国際教養学部で学ぶ学生にとって,グローバル化を文字通り足元から見つめ直すきっかけとなることを願ってやみません。

学生コメント
受講生A
「長期間安定して日本に暮らしたいと考える外国人労働者に対して、移民政策はとらないとしている日本政府の姿勢には大きな乖離があると感じました。ベトナムなどから来る技能実習生は比較的貧しい家庭の人が多いと思いますが、日本でしか使えない日本語を少なからず習得する労力と3年間低賃金で働く労働環境が見合うと思えませんし、借金をしてまで日本に来て働きたいと思えるような魅力が今の経済が低迷している日本には無いように思います。
  妊娠を理由とする解雇等の不利益取扱いについてもあくまでお願いベースであったり、法外な賃金で過労死ラインを超過して働かせている実情を無視して、適切な法的規制や雇用主に対する監督や取り締まりを行わないのは、国の管理が全く機能していないと言わざるを得ません。少子高齢化が進む日本の労働力不足を解消するには外国人労働者の存在は必要不可欠です。外国人労働者が労働現場にとって都合の良い存在として、非常に低い立場にあり、人権を著しく侵害している状況を改善するために、移民政策や労働法の改革、監督・取り締まりの強化など国による早急な対策が急がれると共に、国民がこの問題についてより理解を深め、その重要性を認識することも重要だと思います。韓国の合理的な外国人労働者受け入れ制度について気になったので、調べてみようと思いました。」


受講生B
「外国人を「人材」ではなく「住民」として受け入れる体制を整える必要があるという大坂さんの意見が印象的だった。最後の質疑応答でも意見が出たが、やはり今の日本は外国人を「労働者」としての側面でしか捉えていない気がする。外国人も日本を構成している1人の人間であり、国民と安全に共存していける方法をもっと議論していくべきだと感じた。また、国だけでなく企業や地方自治体にも外国人の受け入れ体制への責任がもっと求められていくべきだと思うし、新しいやり方を主張していくべきだと思う。安く長時間雇うという従来の体制ではなく、仕事の内容に見合った給料やプライベートを大切にできる方法を考えるべきだ。」


受講生C
「外国人労働者の受け入れが多い都道府県で東京都が群を抜いて多いのは肌感覚として分かっていましたが、グラフに収まりきらないほどであることに驚きました。また、愛知県が東京都に次いで二番目に多い、大阪府よりも多いということに驚きました。また、日系人労働者は血縁関係を根拠に受け入れているから滞在期間の上限が無く、働く内容の制限も無いのに対して技能実習生として日本へやってくる労働者は制限が多く実習後には本国へ帰ってもらうことを前提としている実態を聞いて、日本は本当に自分たちの都合の良いように外国人を利用したいのだと感じました。妊娠出産の話に関しても人権侵害ではないか?と思うような制度が現在は取られており、グローバル化が進む地球で自国を恥ずかしく思いました。しかし、外国人労働者への待遇を良くしなければならない、という現状はありますが、自国民の待遇も良くしないと反発が起こることも容易に想像がつきました。労働人口が減少し続ける日本が存続するためにはこの2点を改善していかなければいけないのだと改めて気づかされた講演会でした。」

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