南山大学 国際教養学部 Faculty of Global Liberal Studies

深めて!南山GLS 学生の活躍 講演会レポート

講演会実施報告 2024年5月9日(木)「ジョイセフの国際協力活動について」

2024.05.14

▼講演会

日時:2024年5月9日(木) 15時30分〜17時10分
場所:Zoom
演題:「ジョイセフの国際協力活動について」
講師:矢口真琴氏(公益財団法人ジョイセフ 開発協力グループ シニア・エキスパート)
参加者:国際教養学部生、他学部受講生(参加人数90名)

吉田先生からの一言:
国際協力という言葉を耳にする時,真っ先に連想するのが日本国外で様々な活動を展開しているNGOの活動ではないでしょうか。
今回は日本の国際NGOの草分け的存在である公益財団法人ジョイセフで長らく国際協力の現場に携わっておられる矢口真琴氏をお招きしてその活動について話をうかがう機会を設けました。
ジョイセフの設立から現在までの経緯,それにあわせて活動内容の変化や拡大についてアフリカを主とする海外での支援活動の実情を豊富な画像を交えてお話しいただきました。
国際NGOというと海外の現場で人道支援を展開していくイメージが強いですが,実際にNGOの活動を現地の人達と協力しつつ展開していくには地味で忍耐を要する膨大な作業が必要です。
南山大学,さらに国際教養学部で学ぶ学生のなかから,将来の国際協力を担う人材が出てくれることを願ってやみません。

学生からの感想:

受講生A
「ジョイセフは日本の戦後の家族計画・母子保健の経験を途上国へ伝授していくという取り組みを背景に設立されたと聞き、日本でも発展途上国と似通った乳児死亡率や妊婦死亡率が高い時期があったことを初めて知ったため驚いた。日本が法律、制度づくりで死亡率を下げていったように発展途上国においても妊婦の検診や母子の保健センターなど、病院など適切な治療を受けられる場所へいくための道路を整備するなど、医療従事者だけでなくボランティア地域の人と医療従事者をつなぐ架け橋の役割を行うなどプロジェクトを通して伝授していく取り組みを知った。また、実際に取り組んでいらしたガーナやケニアの事例においてもその取り組みが形骸化しないように、モニタリングや研修を重ねている点から、ジョイセフが開発途上国に対して真摯に向き合おうとする姿勢を感じて、自分も何か取り組めることはないかと考えるきっかけになった。自分が今健康に生きていられていることや、子供を産む時期について自分の軸で考えることができていることが、他の国において当たり前でないことを認識できた。」

受講生B
「今回の講義で特に心に残っていることは「日本戦後の家族計画、母子保健の経験を途上国へ」というフレーズである。今までの授業で日本の被援助国であった過去から今は援助国としての役割を果たしているという話を聞いたが、ジョイセフの活動はその考えをもとに活動していてこれが授業で習ったことかと嬉しい気持ちになった。またその反面、望まない妊娠についても強く印象に残っている。妊娠のうち約半数が望んでいないものである、57%の女の子が19歳以下で結婚させられているなどの現実に心が痛んだ。私より年下の女の子が親や金銭問題のために自由を奪われているのはかなり心が痛んだしやるせない気持ちになった。また決断の遅れ、医療施設への到達の遅れ、適切な医療ケア獲得の遅れなどから妊産婦死亡も多いことから、望まない妊娠により望まない死に追いやられた女の子たちは悔しかっただろう、もっと挑戦したいことがあっただろうと無念でならないと感じた。私は何不自由なく当たり前のように20代になっているがこれは様々な権利が整備された環境にて、選択肢があるのが当たり前な人生であったけれど、私たちの当たり前が当たり前でない人たちがいるこの現象がとてもショックであった。今までなんとなく単位のために授業をとっていたが今回のお話を通して自分の意識を大きく変えられたと感じた。また国際人口開発会議(カイロ会議)の話で個人を大切に、トップダウンではなくボトムアップでと変化してきているということも心に残っている。一人一人こぼすことなく自由に権利が与えられる世の中に進んでいくといいなと感じた。」

受講生C
「今日矢口さんの話を聞いて、今ある女性問題は、公共交通機関の発展の遅れや教育問題、インフラの整備、ジェンダー問題など、様々な深刻な問題が関わっていることが分かった。また矢口さんが実際にガーナに行った際の話を聞いて、私もベトナムの農村部にボランティアとして行った経験のことを思い出した。写真を見る限りのガーナよりかはベトナムの農村部の道路は整備されていた印象だが、整備されているのは割と太い道のみで、人々が生活する上で使用する道は全く整備されていなかった。雨が降った後は足場が非常に悪くなり、一歩踏み外せば高いところから川に落ちてしまうような道も多くあった。例えば、出産などで緊急を要する時に、このような道で妊婦さんを運ぶことは非常危険で難しいだろうと思う。
 また、ガーナでの活動の中で「活動記録」や「モニタリングのスコアシート」を行っていたと聞いて、その時の状況を文字に起こして記録していくということはとても素晴らしいと思った。国際支援活動をする際に大切なことは、支援を終了した後でもいかに活動や成果を維持できるかということだと思っている。矢口さんたちが行なっていたような、活動したことを文字に起こして記録することは、支援が終了した後でも見返すことができたり、記録を持続することで支援していた側もその地域の現状をすぐに確認できる。このような点から、矢口さんたちが行なった事業な持続可能な国際支援の理想的な形であるなと感じた。」

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