南山大学 国際教養学部 Faculty of Global Liberal Studies

深めて!南山GLS 学生の活躍 GLS教員リレーエッセイ

第6回 GLS教員リレーエッセイ 神崎 宣次先生

2021.10.26

『都市研究はじめました』

神崎宣次

この夏に科研費という競争的資金に採択されて、都市についての学際的研究プロジェクトを始めました。プロジェクトメンバーは篭橋先生、総合政策学部の太田和彦先生、社会倫理研究所の森山花鈴先生の南山勢のほか、地理、食、マルチエージェント・シミュレーション、グラフィックレコーディングなどの多様な分野の専門家で構成しています。

都市についての既存の研究にはいろいろなタイプのものがあります。都市計画はもちろんのこと、都市社会学や都市経済学や都市地理学、そして都市生態学などの分野を挙げることができます。南山大学でも外国語学部の平田周先生が、従来の都市のスケールを越える広範囲の都市化という現象を研究対象とするプラネタリー・アーバニゼーション理論の研究を行われています [平田 2021, 18]。都市生態学に関連しては、太田先生が参加されていた総合地球環境学研究所のFEASTプロジェトの成果の一つであるマルチスピーシーズ・サステナビリティの研究も興味深いものです。

私自身が都市の研究を始めた理由は、自分が行っているいくつかの研究を結びつけるのが都市という場だと考えるからです。自動運転やロボット・AIといった技術、そしてサステナビリティや倫理。これらをばらばらの問題として考えるのではなく、相互に関連したものとして把握するための一つの題材として都市が重要だと考えています。国連ハビタットの『世界都市報告2020』によく示されているように、都市は多様な人びと、多様な要素、そして多様な問題とその解決の可能性が相互に連関している場なのです。

もう一つの理由は、学際研究を行うことで自分とは異なった分野の専門家から何かを教わったり、一緒にディスカッションすること自体が楽しいからです。異った価値観の人びとというのは必ずしも別の国や地域や文化の人とは限りません。 知識や専門性も多様性を生み出す重要なバックグラウンドです。そのような場で有意義な協働を行うためにはどうすればいいのか、そして自分は何を提供できるのかを、私はいつも考えています。もっと楽しい研究を行うために。

最後に情報提供を。一般社団法人グリーンビルディングジャパンが「学生オピニオン・チャレンジ」というレポート・コンテンストを行っています。残念ながら2021年の応募は既に締め切られていますが、毎年6月から9月にかけて募集するようです。学部のキャリア教育の授業などでお世話になった平松宏城さんからも、国際教養学部生にもぜひ参加してほしいという連絡をいただいているので、関心がある人はぜひ来年の夏休みにチャレンジしてみてください。

参考資料など

プロジェクトのサイト: https://scrapbox.io/ethics4cities/プロジェクト概要

平田周 2021. 「序 プラネタリー・アーバニゼーション研究をひらく」, 平田周・ 仙波希望編『惑星都市理論』, 以文社: 3-25.

マルチスピーシーズ・サステナビリティについては、地球研のプレスリリースを読んでみてください。

総合地球環境学研究所 2020. 「持続可能性」の定義を「マルチスピーシーズ」の概念から問い直す-人類以外の生物種との共存共栄が鍵-」.

https://www.chikyu.ac.jp/publicity/news/2020/1209.html

国連ハビタット 2020. 『世界都市報告書2020 持続可能な都市化の価値 主な調査結果とメッセージ』

https://unhabitat.org/sites/default/files/2021/01/wcr2020_keymessagescc2019b5_jpn_1p.pdf

GBJ学生オピニオン・チャレンジの2021年度の募集ページ(募集は締め切られていますが参考までに)

https://www.gbj.or.jp/report2021/

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