南山大学 人文学部 心理人間学科

学科での学び 特徴的な授業

社会の中の単純で複雑な人間

2023.06.02

科目名 学科科目「社会心理学 (社会・集団・家族心理学)」
担当教員 土屋 耕治
授業概要  私たちは社会生活の中で,たくさんのモノや人に囲まれ,それらとさまざまな関わりを持ちながら生活しています。この授業では,周りの環境や人 (たち) に影響を受けると同時に,影響を与えるという,私たち人間の心理過程について考察していきます。具体的には,社会心理学のトピックを,個人内過程,二者間の過程,グループ内の過程,グループ間の過程,組織における意思決定,状況が行動や思考を規定する力,文化の影響といった,ミクロな過程からマクロな過程まで紹介していきます。
科目の全体像

 社会心理学の授業では,これまで研究者が行ってきた様々な実験を紹介しながら,周りから影響を受けると同時に影響を与えるという人間像を描き出していきます。
 社会心理学の知見の中には,私たちの直感に反するものも多く存在します。ほとんどの人が,状況の力を受けて無自覚に行動を選択する様は,私たちの「自由意志を持つ人間」という概念を揺さぶります。また,指示されると,それが良くないことだと分かっていても従ってしまうという姿は「自分は良心的な人間でいられる」という信念さえも脅かすものであったりします。
 人の本性は善か悪か。人はその両方を持っており,状況や関係の中でそれらが引き出される,というのが社会心理学の答えの一つです。
 私たちは,なぜこれを良いと思うのか。そうした価値観さえも相対化していく中で,人間の単純でありつつも,複雑な様に触れていくことができます。日々大きく変動していく社会や人間関係の全てを単純に説明することは難しいものの,人間の持つ特徴を知り,研究をすることを通して,「人間の尊厳とは,それを大切にしようと努めなくては維持されえないものである」という思いも出てきます。
 学生の皆さんとは,一緒に新しい研究に取り組む中で,こうした単純で複雑な人間について考えていけたらと思っています。

開講時限 Q4
その他

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一人でいながら、集団や社会と関わりを持つ私たちの特徴についてともに探究できればと思います。


(2023年土屋撮影)

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