南山大学 人文学部 心理人間学科

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本学科所属の先生方が執筆に関わった書籍『はじめよう!心理学研究』が出版されました

2025.03.05

IMG_0797.JPG『はじめよう!心理学研究: 「テーマが決まらない」を乗り越える』

ナカニシヤ出版 2025年2月出版

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本学科の浦上昌則先生,藤田知加子先生,解良優基先生による編集です。他に土屋耕治先生,青木剛先生も執筆に加わっています。

編著者の浦上先生からコメントをいただきましたので,ご紹介します。

*  *  *  *  *

皆さんは,心理学の「研究」についてどういうイメージをおもちでしょうか?

高校生の方は,おそらく「よくわからないもの...」という感じでしょうね。論文を少し読み始めた大学の1,2年生だと,「難しいもの...,難解なもの...」でしょうか。自分の研究を始めている3,4年生だと...? 「やらなきゃいけないもの」かな?

大学は研究をするところ(研究ができるようになることを目指して学ぶところ)で,研究はとてもおもしろいこと...と思います。しかし当の学生の皆さんからは,卒業研究に取り組んで「おもしろかった」という声も届いてきますが,他方で卒業に必要だから何とか...という消極的,ネガティブな声も聴かれるのが現状です。「おもしろい」ものを,「おもしろい」と思えないのはとても残念なことだと思います(推しを持っている人と同じ感覚でしょうか?)。ただ,研究をおもしろいと感じるには,またおもしろいという感じをなくさず進めるには,少々コツというか,ツボがあると思っています。それを伝えられないかなと思って企画し,上梓したのが本書です。

想定している読者は大学の2,3年生くらいの人たちです。これから「研究するぞ!」とか「研究をやらなきゃ...」という時期にいる学生の方に伝えたいことが中心になっています。しかし,もっと前の「研究とは何か,どうするものなのか」という心理学超初心者から,「自分の研究を一度見直してみよう」という大学院修士くらいの人にもすすめられるかなと思います。もしかすると,初めて研究指導を担当するという教員の人にも参考してもらえるかも...?
本書中にもありますが,これから自分の研究を始めようとする時期にいる人に適した書籍が見あたらない...というところから本書の計画がスタートしました。なので,参考にできる類書がなく,編著者でアイデアを出し合いながらの手探りの作業となりました。何を,どういうふうに伝えたら,自分の研究を始めやすく,また進めやすくなるのか(これは言い過ぎかもしれません。沼にはまって身動きがとれなくなる...ということにならなくてすむか,と表現する方が正確かも)と,それぞれの著者がこれまでの指導の経験などを踏まえて書き下ろしています。

その結果,どういう中身になったのか...

これは,どうぞ手に取ってご自身の目で確認してください。期待にそえるものであれば嬉しく思います。
ただし... これを読めば「カンタン」に/楽に研究ができるというマジックアイテムではないので,そこだけはお間違いなく。

 

さて,最後に少しだけ個人的な思いも書かせていただきます。四半世紀ほど心理学の教育に関わってきた身としては,卒業論文に取り組んだことのある人が,研究に取り組んだことや,それを通して学んだことをどうとらえているのか,という点がとても気になります。他の授業では身に付けにくく,「研究」を通してなら身に付けやすい大事なことがあります(そう信じています)。それを何だと受け取っているのかが気になるのです。
卒業研究は,大学卒業のための単なるハードルではありません。教員は,研究を通して身に付けてほしいことを持っています。それは,卒業研究に取り組んだ誰にでも(研究者ではない道を選ぶ多くの人にも)身に付けてほしいことです。本書の「結」の部分で先生が言っている言葉に,そのまとめのようなものがありますが,ぜひ「何を身に付けることが大事なのだろう」と考えながら本書を読んでほしいと思います。そうすれば,きっと研究することの意味づけができ,同時に研究が自分の知識と可能性を広げる,おもしろい活動になると思います。

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