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本学科所属の先生方が執筆に関わった書籍『人間関係の学び方』が出版されました
2025.02.02
『人間関係の学び方: 人間性豊かな関係を育む「ラボラトリー方式の体験学習」の理論と実践』
ナカニシヤ出版、2024年11月出版
本学科の土屋耕治先生、楠本和彦先生、中村和彦先生が編者となっている他、青木剛先生、池田満先生、伊東留美先生、宇田光先生、中西美和先生、畑山知子先生が執筆者です。
また、南山大学の大塚弥生先生、中尾陽子先生、森泉哲先生が執筆者に入っているほか、元教員の故坂中正義先生のコラムもあります。
以下、土屋先生からの本書の紹介です。
この本は、関わりの体験をともにふりかえることを通して、自分自身の関わり方の特徴や人間関係について学ぶ方法(ラボラトリー方式の体験学習)について書かれています。学科生の皆さんにとっては、今後、体験学習の授業のテキストとして、手元に持ってもらう予定の書籍です。
南山大学の心理人間学科では、この「ラボラトリー方式の体験学習」をもとにした授業が複数あります。具体的には、「人間関係概論」「人間関係トレーニング」「人間関係フィールドワーク」「人間関係プロセス論 (カウンセリング・アプローチ)」「人間関係プロセス論 (ファシリテーション・アプローチ)」「ファシリテーター・トレーニング」「体験学習実践トレーニング」などがそれにあたります。
ラボラトリー方式の体験学習は、南山短期大学人間関係科、南山大学人文学部心理人間学科、南山大学人間関係研究センターでの実践と研究をもとに、また、ラボラトリーの場での探究により育まれてきました。この体験学習に関する授業や公開講座のテキストとして長年用いられてきたのが、『人間関係トレーニング─ 私を育てる教育への人間学的アプローチ』という書籍でした。
『人間関係トレーニング』は、ラボラトリー方式の体験学習に関係する基本的な理論やさまざまな考え方が網羅された良書であり、全国の大学や看護学校における人間関係論の授業でテキストとして用いられてきました。もちろん、私たち編者および著者も授業や講座で用いてきました。
そのような『人間関係トレーニング』の後継本となることを意識して、本書『人間関係の学び方: 人間性豊かな関係を育む「ラボラトリー方式の体験学習」の理論と実践』は、執筆されています。
「初版の著者から世代交代をした現在のスタッフの手で、ラボラトリー方式の体験学習の新しい本を出版しよう」という意気込みでスタートしてから4年以上のディスカッションや執筆の期間を経て、本書は誕生しました。諸先輩方からバトンを受け継ぎ、ラボラトリー方式の体験学習の現在地を描き出すことを心がけました。
本書は、体験学習による人間関係論の授業を受講する大学生や社会人の講座受講者、ラボラトリー方式の体験学習を用いたプログラムを企画し実施するファシリテーターの方々を読者と想定して執筆されています。『人間関係トレーニング』と比べると、新たな理論や概念も含めて再構成していること、カウンセリングと臨床心理学に関わる内容を増やしたこと(第Ⅲ部)、ファシリテーター向けの内容を加えたこと(第Ⅳ部と第Ⅴ部)などが刷新されています。
本書を通して、私たちが体験から豊かに学ぶことがさらに可能になり、それを通して将来、人間性豊かな関係、ひいては、人間性豊かな社会を築いていくことができる一助になれば幸いです。
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『人間関係の学び方: 人間性豊かな関係を育む「ラボラトリー方式の体験学習」の理論と実践』
〈目次〉
第Ⅰ部 ラボラトリー方式の体験学習のキーコンセプト
1章 学び方としてのラボラトリー方式の体験学習 プロセスから、ともに学ぶ
2章 ラボラトリー方式の体験学習の基盤となる理念と構造
3章 内省的で協働的な探究
4章 フィードバックと自己成長
第Ⅱ部 プロセスをとらえるための多様なレンズ
5章 システムのさまざまなレベル
6章 個人内プロセス
7章 対人間プロセス
8章 グループプロセス
9章 非構成グループにおけるプロセス
第Ⅲ部 ラボラトリー方式の体験学習に活かすカウンセリングの観点 人間性心理学的アプローチから
10章 ラボラトリー方式の体験学習におけるカウンセリングの位置づけや影響
11章 心理的成長とそれを促す態度・関わり
12章 傾聴 (アクティブリスニング)
13章 自己概念と経験・自己理解
14章 フォーカシング
15章 ゲシュタルト療法
コラム「ラボラトリー方式の体験学習」と私 「Tグループ」と「エンカウンター・グループ」
第Ⅳ部 ラボラトリー方式の体験学習に活かすカウンセリングの観点 心理臨床の知見から
16章 待つ、沈黙
17章 語ること 言語化・象徴化について
18章 洞察、気づき
19章 無意識、イメージ
第Ⅴ部 グループプロセスに働きかけるファシリテーション
20章 ファシリテーションとは?
21章 プロセスに働きかける
22章 グループの話し合いのファシリテーション
23章 長期的なグループの発達・成長をめざして
第Ⅵ部 ラボラトリー方式の体験学習の設計と実践
24章 体験学習プログラム設計の6段階
25章 設計する
26章 実施する
27章 体験学習プログラムをふりかえる(評価する)
28章 体験学習プログラムのバリエーション
コラム 体験学習の成果をどうとらえるか