南山大学 人文学部 心理人間学科

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2024年度オープンキャンパス 模擬授業「心理学ってどんな学問? ―心を科学する―」

2024.07.16

オープンキャンパスで心理学の模擬授業「心理学ってどんな学問?心を科学する」を担当しました。

出席者は,おそらく250名ほどではなかったでしょうか。多くの方に参加していただき,ありがとうございました。
受講したかったのにできなかった方もおられるでしょうし,受講してのアンケートにも協力していただきましたので,その一部をご紹介,ご報告します。

担当者として一番伝えたかったのは,以下のスライド画像にもある,実際の心理学という学問,さらに「大学で心理学を学ぶ」ということの主たる目的を知ってほしいということでした。心理学のコマーシャル(楽しいから,皆さんおいでください!...みたいな)ではなく,入学後に「こんなものだとは想像してなかった...」と思うようなミスマッチを,できるだけ少なくしたいと思って実施しました。

図1.png

そこで,心理学の説明をする前に,大学で心理学を学ぶなら避けて通れない,「実際の心理学の論文」を見ていただきました。
日本心理学会のホームページ(ここ)から,学会誌「心理学研究」の論文へアクセスできます。(スマホなら MENU→心理学会とは→刊行物→心理学研究→心理学研究全文公開とたどってください)
日本心理学会に限らず,web上にはいろいろな心理学論文があり,無料で自由に閲覧できるものも多いので,ぜひいろいろなものを見てください。

学年が上がると,こういうものをどんどん読んでいきます。「1週間に1編では全然少ないよ」と言うと,少々ざわつきましたが...(読めるように努力するのが大学での学びなので,今は読めなくてもまったく問題はないです。読めるようになるために,私は努力できるか?がポイントです。)
そして,「大学で心理学を学ぶ」とは,こういうものを読んで知識を蓄え,最後には自分のオリジナルな研究をし,こういう論文を書けるようになることです,とお伝えしました。卒業論文(本学では研究プロジェクト論文)とは,こういう内容,体裁のもので,それが書けるようになるためにカリキュラムが組まれています。
そのため,こういう論文を「読めるようになりたい,わかるようになりたい」「自分でも作ってみたい」と思えるかどうかが,「私は,実際の心理学,学問としての心理学に興味があるのか?」を判断する時のポイントになると思います。心理学の一般的なイメージと,実際の論文になっているような心理学の研究の間には大きな違いがあるので,実際の論文を見て,知って,その上で「私は,本当にこういう分野に興味があるのか?」と考えてほしいのです。
カウンセラーなどに関心があって心理学をやろうと考える人も多いでしょうが,カウンセリングという行為も,こういう学問としての心理学を踏まえて行われています。論文に人一倍の関心があり,より多く読んでみたいと思うか,研究してみたいと思うか,それを使ってクライエントさんの役に立ちたいと思うか,というところはカウンセラーの基本的な姿勢ですので,しっかりと自分に問うてください。

その後は,心理学的に知るということのプロセス(つまり研究のプロセス)を,具体例で考えてもらいながらお話しました。このプロセスで「科学」という考え方を使い,「統計」が有効な手段になります(仮説演繹法とよばれるプロセスです。Webで検索すると,情報はたくさんあります)。

このような大学で学ぶ目標,内容を前提にすると,自分を文系/理系に分類することや,入試の科目だけに集中して勉強することなどは,入学後は意味をもたないことも加えました。そして,以下のようにお伝えしました。

図2.png

アンケートでは,受講後の感想を一言で書いていただきました。「難しい」というようなコメントも少なくありませんでしたが,「おもしろかった」というコメントも同じくらいありました。「難しかったけどおもしろそう」「大変そうだけどやってみたい」という感想も見られて,担当者としてはよかった思っています。
また,「リアルを知った」「統計を使うんだ」「心理学のイメージが変わった」「思っていたものと違っていたので考え直したい」などといったコメントもかなり多くありました。今回の模擬授業の目的からすると,こういうコメントがあったのは,伝えたいことが伝わったからだろうなと思っています。入学後のミスマッチを0にすることはできませんが,できるだけ小さくなるように情報を集め,検討してほしいと思います。

最後に,2問のアンケートの集計結果をご報告します。

質問A
模擬授業で紹介した,実際の心理学や大学で心理学を学ぶことは,あなたが抱いていたイメージと合っていたでしょうか?
「イメージとまったく違っていた」と感じる場合を0,「イメージしていた通りだった」と感じる場合を5として,あなたの今の感じを0から5までの間の適当な数字のところにチェックしてください。

図3.png

0の「イメージとまったく違っていた」と,5の「イメージしていた通りだった」を比べると,「イメージとまったく違っていた」の方が多いのですが,全体としては「イメージ通り」の方向の回答の方がやや多いようです。担当者は「イメージと違っていた」という方向の回答がもっと多いのではないかと予想していましたが...,外れました。心理学についてしっかり調べている方が多かったのかなと思います。

質問B
あなたの「大学で心理学を学ぶこと」についてのイメージは,この模擬授業に参加したことで具体的になってきたでしょうか?
模擬授業参加前と比べて,「まったく変化していない」と感じる場合を0,「とても具体的になってきた」と感じる場合を5として,あなたの今の感じを0から5までの間の適当な数字のところにチェックしてください

図4.png

受講したことで自分の中に変化が生まれたことを自覚している,3,4,5を選ばれた方が多いようです。担当者への配慮といった影響も含まれている(心理学ではこれをバイアスとよびます)でしょうが,うれしい傾向です。どうぞ,それを学部や学科の選択の際に活用してください。他に気になっている学問・領域があれば,調べて比較してみてください。

(担当:浦上)

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