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LGBTQ+のアドボカシーへ向けてのボトムアップ的実践について:「2024年度コミュニティ心理学研究会」を開催しました
2024.05.07
4月30日(火),"KANE & KOTFE"のお二人を講師に招いて「2024年度コミュニティ心理学研究会」が行われました。講師のお二人は,交際13年目の元消防士✕元警察官の同性カップルで,どんな場所にも当たり前にLGBTQ+がいることを伝えるべく,企業・自治体・教育機関での講演や,各種メディア,イベントへの出演などの活動を行っていらっしゃいます。
研究会は「LGBTQ+のアドボカシーへ向けてのボトムアップ的実践について」をテーマに,D棟の絨毯教室で,ワークショップ形式で行われました。参加者は約30名で,心理人間学科の学生を中心に,他学科の学生,大学院生,教員も参加しました。
ワークショップでは,二つのテーマについてグループで話し合いをしました。
一つ目の「アライ(ALLY)の可視化には効果があるの?」というテーマでは, LGBTQ+の人々に理解を示し,支援する人(アライ)であることを表明する意義について,"アライの表明がLGBTQ+当事者の安心感につながるのか", "不利益をもたらす可能性はないか","アライを可視化する方法は?"といった議論が行われました。また「アライ表明をすると『意識の高い人』と思われるかも...」という抵抗感も語られ,社会全体で取り組んでいくことの重要性を再確認する機会となりました。
次に,「ジェンダーに関わる身近なアンコンシャス・バイアス」をテーマに,LGBTQ+に限らず,身近なジェンダーバイアスについて体験を共有しました。多様な体験が語られる中,印象的だったのは,「女の子は浪人すると結婚ができなくなるので,浪人させてもらえない」というものでした。「浪人すると,大学卒業の年齢が遅くなり,結婚適齢期を逃す」のだそうです。女性への高等教育の軽視と,"結婚適齢期"という発想,二つの意味でバイアスのかかった言説が今なお存在していることに,強い問題意識を感じました。
今回の研究会は,LGBTQ+のアドボカシーについての議論を通して,誰もが安心して過ごせる社会の実現に向けて研究と実践について考える機会となりました。
(報告者:池田)