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【留学体験談】DAAD-Sommerschule: 現代ドイツ文学サマースクールから学んだこと
2020年01月21日
2019年9-10月にかけて、奨学生としてビーレフェルト大学にて2週間のサマースクールに参加しました。講義の内容は「2000年以降のドイツ文学と宗教」。自分が専門ゼミで専攻しているドイツ経済とはかけ離れていたため、参加したとしても自分の研究に活かせるかどうか不安でした。しかし奨学金を頂ける上に、自分のドイツ語能力を試せる良い場だと考え、参加を決意しました。今となってはあの時の決断は本当に正しかったと思えるほど、ここで学んだことが自己の成長につながったと胸を張っていえます。
課外学習もありましたが、講義は基本的にディスカッション。ドイツと日本を含め計6ヵ国からドイツ学科の学生が集まり、ドイツ語でテーマに関して朝の9時から18時(遅い時には21時過ぎ)まで話し合いました。毎日様々な大学からドイツ文学専門の教授が訪れ、話し合いのテーマを提示していただきました。私は以前一年半レーゲンスブルク大学に留学していたので、授業についていく自信はありました。この自信は、初日に行われた現代ドイツ文学の入門講義で失われるのですが。
予想に反し、講義はドイツの大学で普段行われているゼミそのものでした。教授陣はドイツ文学の専門用語を使い、それに対し現地の学生も速いスピードでの意見と質問の繰り返し。ドイツ文学の基礎知識を前提とし、それを利用し文章から何を読み取りどう根拠づけられるかが全体を通しての争点でした。ドイツ文学の知識を全く持ち合わせていない私は、議論に耳を傾けるだけで必死でした。加えて圧倒されたのは、他のインターナショナルの学生の発言です。ドイツ文学の知識では現地の学生に引けを取らず、また躊躇いなく発言するドイツ語は、母国語話者のドイツ語のようでした。大学生活の4年間しっかり勉強すればこれほどの知識が得られるのかと驚かされました。
Copyright: Patricia Bollschweiler, Universität
ここまで聞くとかなり辛い講義に思われるかもしれませんが、まさしく辛かったです。ただし代表としてきたからには必ずこのクラスに存在感は残して帰ろうと決意しました。授業で分からなかったことは近くの学生に常に質問しました。ドイツ文学の基礎知識のない私に教えるのは骨折りの仕事だったと思いますが、皆優しく理解できるまで付き合ってくれました。もっとも助けてくれたのは、ルームメイトのイタリア人の女性です。彼女はドイツ文学に詳しくない私のために、一晩かけてドイツ文学の概要を説明してくれました。おかげで授業の理解度は一気に上がり、発言に自信を持てるようになったことがとてもうれしかったです。代わりにドイツ語があまり得意でなかった彼女に、皆でドイツ語集中講義をしたことも楽しい思い出です。
Copyright: Patricia Bollschweiler, Universität
この二週間の経験を通し、今まで関わることの少なかったドイツ文学の奥深さや、垣間見える人々にとっての宗教の在り方の変化を学ぶことができました。またそれ以上に学びとは何かを教えられました。言語は手段にすぎないとよくいいますが、本当にその通りだと思います。言葉より話す内容が頭になければ、ディスカッションできません。私は、皆の様にSchillerの手記を見ただけで泣けるほどドイツ文学に夢中になるかはわかりませんが、ここでできた友達に誇れるような知識をつけ、次会う時には皆とBertolt BrechtやPaul Celanについて語り合えるようになりたいと思います。
2015年度入学 溝口 芽純