教員コラム 総合政策学専攻
Zとかαとか(総合政策学 狭間 諒多朗 准教授)
2024年06月17日
Z世代とは1990年代後半から2010年代初頭に生まれた人々のことを指すようです。当初はマーケティングの分野などで注目されていた言葉だと思いますが、今ではすっかり「今の若者」を指す言葉として定着した感があります。
もともとはアメリカの言葉でしたが、日本に輸入されて広まりました。アメリカではX世代(おおよそ1960年代後半から1970年代生まれ)、Y世代(おおよそ1980年代から1990年代前半生まれ)という言葉が先にあって、その後に続く世代だからZ世代、だそうです。
といっても、日本にも○○世代という言葉はたくさんあって、団塊の世代に始まり、新人類世代や氷河期世代など、それぞれの世代を表す言葉が生み出されてきました。かくいう私自身は1989年生まれで、一般的にはゆとり世代と呼ばれる世代に属しています。学習指導要領の改訂によって学習時間と内容が減らされた、いわゆる"ゆとり教育"を受けた世代という意味です。なんとなく"勉強ができない人"のようなニュアンスを感じてしまうので、あまり好きな言葉ではありません。
ただ、ゆとり世代やその前の氷河期世代だと、ゆとり教育を受けてきた人たち、就職氷河期に就職活動を行った人たちのように、一応、世代共通の経験が意味に含まれているので、各世代がどのような人たちなのかという一部は示しているとは思います。それと比べるとZ世代という言葉では何を経験した人たちなのかピンときません。
もっとも、氷河期世代やゆとり世代の特徴を語るときにも、「世代内の多様性や格差が広がっているので、一括りにはできません」と言われていて、一括りにできないという特徴で一括りにされている不思議な状況ではありました。そうした段階を経て、ついに世代を示す言葉がただの記号になったということでしょうか。○○世代という言葉で特定の年代生まれの人々を特徴づけるのはもう限界、ということなのかもしれません。
また、当の本人たちも○○世代という言葉で一括りにする限界を感じているようです。私が2022年に20代の人を対象に実施した調査だと、「ゆとり世代やZ世代のように、世代で人びとの特徴を語るのは難しいと思う」かという質問に対して、「そう思う」と答えた人が49.3%に上ります(図)。
では次の世代は何になるのだろうかと思って調べてみると、2010年代初頭から2020年代中頃に生まれた人々をα世代と呼ぶそうです。この言葉がどれだけ定着するのか現時点ではわかりませんが、Zとかαとか言われてもやはりどんな人たちなのかわかりませんよね。でも、Zとかαとか、なんだか格好良くていいなぁと感じる自分もいて、ちょっぴり複雑な気分です。