教員コラム 総合政策学専攻
あえてアウェイに行く――シリアスボードゲームジャムのご紹介(総合政策学 太田 和彦 准教授)
2022年04月01日
「ゲーム」はお好きでしょうか。私は縁あって、社会問題や環境問題をテーマにした「シリアスゲーム」と呼ばれる分野の研究をしています。仕事の延長でゲームができて羨ましいと思う方もいるかもしれませんが、残念ながらその逆です。イベントの企画・運営や論文の執筆に忙しく、ゲームで遊ぶ時間は明らかに減りました。
私の出身は農学部で、もともとの専攻は環境倫理学と風土論です。地球研で研究員として働いていた2017年に、オランダの研究者の方との共同研究のなかでシリアスゲームに触れて以来、このテーマに取り組むことになりました(他にも、食農倫理学や風土論など、いろいろなテーマに取り組んでいます)。ゲーム研究には、「ゲームは人にどのような影響を及ぼしうるのか?」「ゲームというメディアの特性は何か?」「他の産業とのどのような相互作用が見られるのか?」などの多くのテーマが含まれます。私の場合は、「シリアスボードゲームジャム(制限時間内に、ボードゲームを4人ほどのチームで制作するイベント)」が持つ、さまざまな分野や職種の人たちが連携して厄介な問題に取り組むためのエクササイズとしての効果について調べています。これまで3回開催したイベントには、のべ90人ほど、研究者、ゲームクリエイター、自治体職員、NPOスタッフ、会社員、学生と、多くの方にご参加いただき、良い成果が得られています。
大学院に在籍していたときには、数年後にゲーム研究を始めるとは想像もしていませんでした。これから大学院に進学する、あるいは現在在籍されているみなさんの中にも、今は想像も及ばないテーマについて、将来何かの縁で取り組むことになる方がいるのではと推察します。研究活動には、何がもたらされるかわからない状況に対して、なんでもひとまず受け入れてみるキャパシティを育むことで、初めて味わえる楽しさがあると思うので、複数の分野の複数の勉強会やゼミに顔を出すことを強くお勧めしたいと思います。
さて、4回目のシリアスボードゲームジャムは、2022年9月に熊本県内の図書館で開催予定です。オンライン会場も設置する予定なので、ご関心のある方はお知らせください。
総合地球環境学研究所で開催された、第1回シリアスボードゲームジャム(SBGJ2018)
オンライン上のGather.Townで開催された、第3回シリアスボードゲームジャム(SBGJ2021)