教員コラム 経営学専攻
金融レバレッジ効果(経営学部 竹澤 直哉 教授)
2023年08月02日
ファイナンス分野では、プロジェクトなどへの投資を行うときに、その資金を銀行などから借り入れるのか、それとも自己資金で賄うかという判断に迫られることがある。
今、プロジェクトに必要な資金が仮に100万円であったとしよう。このプロジェクト(に投資した時)の利益率は銀行から借り入れをしようが、自分の預金などから出そうが、投資に対する利益率は変わらないように思うかもない。ここで(A)すべてを自己資金で賄った場合、(B)半分を借り入れで賄った場合の利益率を比較してみよう。ここでは100万のプロジェクトの利益率が10%で、利息が2%であると仮定する。
(A)の場合
この時の利益率は10万÷100万(自己資金)=10%となる
(B)の場合
この時の利益率は(10万-1万)÷50万(自己資金)=18%となる。一見すると、借入も含んだ投資資金100万円が自己資金と同じと思うかもしれないが、利益率を計算する場合自分の懐から支払われたのは50万だけであるため、自己資金(は)50万円で計算するのである。
投資資金に対する自己資金の比率は(B)の場合100万÷50万=2となり、2のことをレバレッジと呼ぶ。仮に、利息が0万と(仮定)すると、投資を行ったときの利益率は10万÷50万=20%となる。つまり、利益率は(A)の2倍(レバレッジ倍)になるのである。
ファイナンスには、借入を返済できないというリスクと利益率(リターン)のバランスを取りながら企業経営やプロジェクト投資を行うことで、より効率的な企業経営を助けることもできるという一面もある。