教員コラム 経営学専攻
難しいSNSの情報発信(経営学 石垣 智徳 教授)
2022年09月06日
前回のコラムでは店舗売上に関するデータがらみの話を書きましたが、今回は消費者(客)の行動に関するお話をしたいと思います。
昨今はインスタグラムをはじめ、YouTube、ツイッターなどSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が私たちの生活の中で話題になることがよくあります。有名芸能人や若者はもとより一般の中高年でも普通に視聴し、場合によっては自分の作成したコンテンツ(写真、動画、文字情報など)を定期的に投稿している人もいます。
大学生たちも少なくとも何らかのSNSを使用していると考えられ、そのような状況でよく聞くことばが、「なかなかフォロ(ワ)ーが伸びない」というセリフです。フォローとは、そもそも「興味をもって追いかける」というような意味であり、SNSでは興味を持った人や企業などのSNSアカウントに対して(ファンがアイドルを追いかけるように)登録すること、フォロワーとは(アイドルに対するファン集団)登録している人たちと理解できます。大学生たちの嘆きは、(たぶん)みんなに見て欲しい、面白い内容を自分は発信しているはずなのになかなか登録してもらえないということでしょう。
最近、席数は少なめの飲食店を営んでいる方からも同じような嘆きを聞きました。「うちは他店に比べてこんなに珍しい商品やおいしい商品を提供しているのに。。。」というのです。コロナ禍の影響だけではなさそうなので、理由を店主と一緒に考えてみると客(フォロアー)のエゴが見えてきました。常連客が知人に教えない、SNSのフォロワーが増えないのは客の独り占め願望ではないかということです。自分の気に入ったお店に好きなときにふらっと寄れないぐらいお店が忙しくなって、SNSで知られて、欲しくないという心理が影響しているのではということになりました。その真偽までは確認していませんが、SNSを使う時代になっても人の気持ちを考えたうえで情報発信しないと思わぬ方向に行く可能性があるということを実感しました。