教員コラム 経営学専攻
経営学専攻 奥田隆明 教授
2019年11月15日
交通まちづくり(ディスティネーション・マネージメント)
社会科学研究科では「グローバルな社会の急激な変化に対応できる人材の育成」を教育理念に掲げています。こうした意味において、今後、中部地方はさらに大きな変化に直面することが考えられます。つまり、近年、訪日外国人が急激に増加する中で、訪日外国人の観光需要を積極的に取り込むことが必要になって来ています。加えてリニア中央新幹線が開通すると、首都圏、中京園、近畿圏は1時間で移動が可能になるため、積極的に首都圏や近畿圏の需要を取り込んで行かなければ、いわゆるストロー現象の影響を受けることが考えられます。さらに、デジタル技術の普及によって働き方や生活の仕方が変化すると、交通需要はもちろん、様々な需要が変化することも考えておく必要がありそうです。
こうした変化の要因を幾つかのシナリオとして整理した上で、フューチャー・デザインを行うための手法をシナリオ・プランニングと呼んでいます。また、シナリオ・プランニングを行うためには、それぞれのシナリオに基づいて地域社会がどのように変化していくのかを具体的にイメージすることが必要になります。例えば、リニア中央新幹線が開業した後に訪日外国人の観光消費はどのように変化するのでしょうか? 日本のように国内交通が発達した国では、訪日外国人は国内の幾つかの観光地を周遊しながら、それぞれの観光地で消費を行っています。そのため、こうした観光消費を把握するためには、周遊の中で行われる観光消費が分析できる「空間的消費モデル」が必要になります。この研究では、こうしたインバウンド観光消費モデルを開発し、これを用いてリニア中央新幹線の開業が訪日外国人の観光消費にどのような影響を与えるのかについて分析を行っています。その他、詳しい研究内容については、次のWebページも参照して下さい。
https://sites.google.com/site/maglev2027/