教員コラム 経済学専攻
統計ダッシュボードは「社会を見る窓」(経済学 吉根 勝美 准教授)
2026年07月16日
データ分析の授業で実施するPC演習のための教材作成では、政府統計を使用することが多い。そのデータの入手先は、主として政府統計のポータルサイトe-Statであるが、最近は、データを視覚化して提供するサイトで統計を閲覧する機会も増えている。例えば、2024年に始まった『統計Viz(ビズ)』、2025年に新システムが始まった『地域経済分析システム(RESAS:リーサス)』がそれである。しかし、これより以前の2017年に、総務省は、視覚的に分かりやすく統計データを提供するウェブサイトを開始していた。このサイトの名称が『統計ダッシュボード』である。
ダッシュボードと言えば、まず経営ダッシュボードが連想される。これは、各種経営指標、KPI(重要業績評価指標)など、経営に必要な数字やグラフを1か所にまとめ、経営者の意思決定に役立てるものである。
また、いくつかの府省庁でもダッシュボードを公開している。こちらは、政策ダッシュボードと呼んでもよい。デジタル庁は、データと根拠に基づいた政策判断・効果の可視化の推進役として、2026年7月現在、『Japan Dashboard』7種、『政策ダッシュボード』19種、計26種の政策ダッシュボードを公開している。為政者の政策決定に寄与する点では経営ダッシュボード的であり、政府の公的統計データや政策に関わるデータを公開する機能を有する点では(カギかっこ無しの)統計ダッシュボード的でもある。
統計ダッシュボードには、あらかじめ想定された利用者はいない。誰にでも開かれた統計ダッシュボードは、社会の現状を表す統計データを視覚的に閲覧できる「社会を見る窓」である。人間は、本能的に「ドラマチックすぎる世界の見方」をしがちである(『ファクトフルネス』p.23、日経BP社)。そんな人間だからこそ、この「窓」を通して、「事実に基づく世界の見方」を意識したい。