教員コラム 経済学専攻
「豊かさ」の指標とは(経済学 宮崎 浩伸 教授)
2025年03月14日
国民の「豊かさ」をどのように測るか、難しいテーマである。代表的なものとして、GDPがある。GDPについては以前から問題点はいくつか指摘されている。しかしながら、これに代わる有効な指標はなく、今も世界中で経済活動の指標として使われている。一方で、これに代わる指標として、様々な指標が提起されている。例えば、ブータン国の「国民総幸福量(GNH)」や「国民純福祉(NNW)」等が挙げられる。しかし、これらの指標は定量的な測定が難しいという大きな問題がある。
これまでも多くの経済学者がGDPに代わる指標を研究してきたなか、誰もが納得できる成果が得られないほどの難しいテーマである。従って、私ごときが語るのもおこがましいが、医療の充実度やメンタルヘルスは1つの指標にならないだろうか。
医療の充実度をどのように測るかも難しいと思われる。例えば、国民皆保険制度のある日本は世界的にみても非常に恵まれている。しかし、地域によっては医師不足が生じており、地域医療においては大きな課題がある。また、アメリカは皆保険制度がないため、医療費が高く、病院に行けない人も多いようである。メンタルヘルスについても測定法が難しいが、近年では診断結果から客観的数値での評価が可能になってきているようである。医療技術の進歩はめざましく、今後のさらなる研究成果にも期待できるので、国を挙げて取り組んでほしいと思う。いずれにおいても、私には医療や医学の知識がないため、判断できないので、専門家からのご意見を伺いたいところである。
GDP統計に代わり、このような指標が定期的にテレビのニュースや新聞等で取り上げられるようになれば、「豊かさ」や「幸せ」を実感できる社会になると思う。