教員コラム 経済学専攻
GDPで見る名古屋市、愛知県(経済学 宮崎浩伸 准教授)
2023年06月01日
名古屋市や愛知県について、皆さんはどのようなイメージを持たれているでしょうか?
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった歴史上の人物が有名な地、あるいはトヨタ自動車をはじめとした製造業が盛んな地域といったイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
ここで、経済学の視点からGDPの指標を用いて、ヨーロッパ諸国との比較を行ってみると、もちろん為替レートや年にもよりますが、名古屋市だけでハンガリー1国と、あるいは、現在たいへんな状況下にあるウクライナ1国と同じぐらいのGDPとなっています。また、愛知県はデンマークと同程度のGDPです。
実はあまり知られていませんが、愛知県は製造業だけでなく、農産物や水産業も盛んで、全国第1位のものがいくつもあります(キャベツ、花木類、アサリ、鮎の養殖など)。その他、在留外国人数、対人口割合で見ても、東京に次いで全国第2位、名古屋港は全国第1位(取扱貨物量)とグローバル化の進展度が非常に高いです。このように見ると、名古屋市や愛知県の経済力の大きさを実感でき、働く場所としては非常に恵まれた地域といえるかと思います。また、日本のほぼ中央に位置し、交通の便が良いことも強みだといえます。
しかし、名古屋市が発表した2018年度の「都市ブランドイメージ調査」によると、全国主要8都市(札幌市・東京23区・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・福岡市)の中で、最も「魅力に乏しい街」という残念な結果になりました。このため、今後はアピール力や観光業に力を入れるようです。このような取り組みに加え、リニア中央新幹線が開通されると、さらに経済力が高まることが期待できます。