教員コラム 経済学専攻
南山雑記(経済学 都築 栄司 教授)
2022年08月01日
南山には坂が多い。
南の山と書くくらいなので、それはそうだろうなと思われる方もいるかもしれないが、実際、山の上にある。
聞いた話によると、高低差は最大で50メートルほどあるという。
あくまで伝聞なので、これが正確な数値であるのかどうかは知らないが、少なくとも私の体感的にはそのくらいはある。
私の研究室はJ棟と呼ばれる建物の中にある。
建築家アントニン・レーモンドによるもので、かなり古い、いや、歴史を感じる建物だ。
この棟の地下1階にある、学生の研究室にあたる「セミナー室」から窓の外を見ると、その目線は地上よりかなり高い。
私は、今は自動車通勤だが、赴任した当初は地下鉄で通っていた。
最寄り駅は「八事日赤」である。
そこから大学まで歩くわけだが、J棟まで行くのに、少しだけ距離を短縮できるルートがある。
そのルートの途中に、長く急な坂がある。
誰かから聞いたのか、どこかで読んだのかは覚えていないが、その坂のことを、南山の教職員は「定年坂」と呼んできたらしい。
「この坂を上るのがきつくなったら自分ももう定年かな・・・」という意味なのだそうだ。
幸い、当時の私はまだ、活気あふれる学生と一緒に、何の苦も無く毎日上っていた。
ところが、それは猛暑の日だったのだが、坂の下のコンビニまでちょっとした用事で出かけ、帰りにその坂を上った。
少しだけ息切れをしていた。
なお現在は、このルートは、近隣住民への配慮などから、学生も教職員も通行を控えるようにしている。
南山には、ロゴスセンターと呼ばれる、聖堂やホールなどが入っている建物がある。
「ロゴス」とは、ヨハネによる福音書にも登場するギリシヤ語で、「ことば」という意味である。
コロナのせいか、今はもう営業していないが、「ダガネ」という食堂もあった。
どういう意味なのだろうかと調べたことがある。
結果、これは愛知の方言だと分かった。
「そうだがね」(そうだよ)などと語尾に使われる。
ただ、実際に聞いたことはない。