教員コラム 経済学専攻
名古屋は日本で第三の都市なのか?(経済学 相浦 洋志 准教授)
2023年01月15日
コロナ禍前の話になるのですが、経済学部の同僚と飲み会をしている中で、ある先生が「名古屋は第三の都市ではない」といわれました。曰く、「人口でみると東京、横浜、大阪、名古屋」の順だからとのこと。しかしながら、これは人口でみたからであって、別の経済指標でみると、順位が結構変わってきます。このあたりの細かな話は、ややこしくなりますので、このコラムでは、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」が決めゼリフのNHKの某番組のような風変わりな回答をしたいと思います。
「名古屋は日本で第三の都市なのか」の答えは「人の信念による」というのが、地域経済学者の端くれである私の答えです。まず、"名古屋"は"名古屋市"を意味しているわけではありません。分かりやすい例としては、東京都ではないのに"東京"と名の付くテーマパークや大学が多々あるように、名古屋においても名古屋市にはないのに"名古屋"と名の付くテーマパークや大学があったりします。では、私たちがイメージする"名古屋"の範囲はどこからどこまででしょうか?実は名古屋と文化や経済において繋がりのある地域も"名古屋"の一部であると私たちは感じています(*)。名古屋と文化や経済において繋がりがあるかどうかは人の信念によって異なりますので、どこからどこまでが名古屋かもそれぞれの信念によって変わってくるというわけです。その意味において「名古屋は日本で第三の都市なのか」の答えは「人の信念による」ということになります。
ちなみに私は名古屋市の隣町に住んでいるのですが、他県の人から"どこから来たの?"聞かれたときに"名古屋"と答えます。これに対し、たまに"じゃあ(名古屋市の)何区から?"と反応する人がいます。私としては、上で紹介した"名古屋"と同じ意味合いで答えたつもりなので、「そこは突っ込まないで」といつも心の中で叫んでいます。
(*)なお、このような地域の概念を学問上では"結節地域"と呼び表しています。