教員コラム 経済学専攻
経済学専攻 宮崎浩伸 准教授
2020年05月29日
経済データ、統計分析の進展
私は、経済統計や計量経済学といった講義を担当し、経済データを用いた実証研究を行っています。ここでは、このような分野における最近の新しい動きを紹介したいと思います。
まず、人口知能(AI)技術の発展により、画像やテキストデータ(文章)といった数値化されていないデータが、経済データとして利用されるようになってきました。例えば、人工衛星画像を用いて、工場や街の夜間の明るさを分析して、GDPを予測したり、家屋の大きさや材質から貧困度データが作成されています。また、政府や日銀からのレポートの文章を数値化したデータも景気指標として利用されるようになってきました。このような新しい動きは私が大学院生の時では全く予想されないことでした。
また、PCの性能が大きく向上したことで、大量のデータを読み込むことが可能になったことから、統計・計量分析の手法も大きく進展してきました。特に、統計学では、古典的統計学だけでなく、ベイズ統計学も見直され、今後の進展が大きく期待されています。今では、カーナビの目的地検索や迷惑メールの識別など、私達の身近な生活の中でも、ベイズ統計は利用されています。
このように、日々、新しい経済データや分析手法が次々と開発されるのはたいへん興味深いといえますが、あまりの研究の進展の速さに、残念ながら、私の方はついていけなくなっています。20年後はさらにどうなっているのでしょうか?私には全く想像もできませんし、今後ますますついていけなくなるかと思いますが、少しずつ勉強を続けていきたいと思っています。