教員コラム 経済学専攻
経済学専攻 都築栄司 教授
2020年02月14日
学会へ行こう
大学教員や大学院生は、研究成果をまず学会で発表し、そこで得られたコメントを元に論文を修正して、その後専門的な学術雑誌に投稿(うまくいけば掲載)する、という手順で自身の成果を世に問うことが一般的です。学術雑誌への投稿については、赤壁弘康教授(経営学専攻)のコラム「研究者を目指すあなたへの学術的武者修行のすすめ」に詳しく述べられています。本コラムでは、学会についてお話をしたいと思います。
研究者は通常、自身の専門分野に近い(いくつかの)学会に所属しています。学会によって異なりますが、年次大会や部会が年に数回開かれます。まずそこにエントリーして、専門家に研究の独創性や議論の厳密性をざっと評価してもらうわけです。ただの聴講者として参加することもできます。その場合、大会への参加は比較的気楽ですが、以下のような収穫があります。
(1)最新の研究動向を把握することができる
(2)大会には独特の雰囲気があり、それを味わうことで研究意欲が沸き立つ
(1)はことさら言うまでもないことですが、学生の皆さんには、あまり当面の研究には関係がないかなと思えるようなテーマでも、(2)の効果を期待して、まずは報告を聞いてみることをお勧めします。
年次大会や部会は地方都市で開かれることも多く、学会の合間に観光をしたり、その土地のおいしいものを食べたり、といったことも楽しみの一つです(もちろん自費で)。
私は「進化経済学会」という学会に所属しています。この学会の「会員のバックグラウンドは、経済学、経営学、会計学、社会学などの社会科学にとどまらず、心理学、物理学、生物学、コンピュータ・サイエンスなど文理全域にまたがっています。」(進化経済学会website)よって、「経済学者の常識」にとらわれない視点を提供してくれることもある、という点で貴重な学会です。
先日、飛騨高山でカンファレンスがあり、聴講者として参加してきました。高山は名古屋から特急「ワイドビューひだ」で3時間弱(車窓からの景色良)、カンファレンス終了後には意見交換の場として懇親会が催されました。「地域通貨学会」という比較的大きい学会との共催だったため、ひときわ盛大でした(図1)。学会の合間には古い町並み(図2)を見学して気分転換も。
知識の吸収や新しいアイデアの発掘、そして何より頭のリフレッシュ、私にとって学会とは主にそんな場です。
図1:懇親会中に見えた花火
図2:高山の古い町並み