教員コラム 経済学専攻
経済学専攻 相浦洋志 准教授
2020年04月01日
ぼくは英語ができない
私が大学という世界で仕事をしていて一つだけ嫌なことがある。それは英語を必要とするということだ。私は英語が大の苦手である。私が大の英語嫌いになったきっかけは中学までさかのぼる。中学1年の英語の授業で、thirteenとthirtyのアクセントがうまく言えなかったらしく、英語指導助手の外国人の先生からクラスの仲間の前で何回も発音練習させられた。それ以来、英語がすっかり嫌いになってしまった。
とはいえ、英語で論文を書くし、年に一回ほどは英語でプレゼンテーションをする。これだけ聞くと、英語が嫌いなだけである程度英語ができるのではと思われてしまう。事実、私の妻は私と初めて海外旅行に行くまで、私がかなり英語を喋れると思っていたらしい。旅行から帰ってきて、「あなたは英語が苦手だと言ってたけど、本当だったんだね。」と言われてしまった。
正直に言うと、仕事で使う英語は最低限の英文法さえ身に付けていれば何とかなる。例えば、論文を書く際は、英文校正の業者を利用する。これを利用すると私の拙い英語がエレガントな英語に変身する。プレゼンテーションも本番前に何度も繰り返し練習することで、それなりのプレゼンテーションができる。プレゼンテーション後の質問についても、事前にある程度、質問の予測はつくので、事前に回答を用意しておく。相手が喋っていることの半分も理解できれば、正確ではないが質問の意図はつかめるので、事前に用意した回答をうまく組み合わせることで何とかなるものである。さらに、海外の研究者と仕事をするときでさえ何とかなる。というのも、相手も私とコミュニケーションを取れなければ仕事にならないので、私の英語を丁寧に聞いてもらえるし、英語のレベルを下げて喋ってもらえる。また、経済学は数学を利用するので、数式を用いながら説明することもできる。要するに、仕事で使う英語は、専門知識と時間、仕事相手の理解さえあればやっていけるのである。
しかしながら、仕事以外の英会話ではこうはいかない。特に3人以上の雑談では、私の英語力に合わせることなく私以外の人たちで話題が進むことがあり、それについていけないことが多々ある。このような雑談は仕事に直接の関係はないので、気にしなければそれで良いのかもしれない。しかし、研究者同士の雑談から新たな研究のヒントが思い浮かぶことも結構ある。なので、やっぱり英語ができないと損するのである。
というわけで、私の英語との戦いは日々続くのである。