教員コラム 経済学専攻
2018年度経済学専攻主任 阪本俊生 教授
2018年10月26日
「経済、消費、自殺、プライバシー?」
経済社会学担当ですが、専門は社会学です。社会学は経済学と同じ社会科学とはいえ、その考え方はまったく異なります。経済学者たちに囲まれた異分子といったところですが、経済を経済学とは違った角度からとらえるということをおこなっています。
これまで、Erving Goffman(ゴフマン)という20世紀アメリカ社会学を代表する社会学者の研究にはじまり、それとの関連でプライバシー(『プライバシーのドラマトゥルギー』および『ポスト・プライバシー』他)や消費(『禁欲と強欲』他)、日本の自殺を研究してきました(『新・自殺論』近刊)。
現在、プライバシー研究をテーマにする指導学生が前期課程に1名です。1年次前半ではプライバシーに関する基礎をしっかりと学び、秋からは、情報化が進む現代のプライバシーについて私自身も研究を続けながら指導してゆきます。
基本的に私の関心は、個々人のアイデンティティのあり方の問題と経済という問題です。 その関連で、私がいま執筆しているのは、ゴフマン社会学の視点から自殺を分析するというかなりユニークな本です。ユニークすぎてなかなかわかってもらえないのが欠点です。この夏は、ゴフマンのface論(体面論)を用いた自殺論を世界社会学会(カナダのトロント開催)で研究発表してきます。これらを終えたのちは、プライバシーの学術的研究、およびそれと並行してゴフマン論、消費論、プライバシー論、自殺論の諸研究をまとめた経済社会学を構想しています。これまで一つの研究を区切るのにほぼ10年ずつかかってきました。はたして、これを生きているうちにやりおおせるかといったところです。
基本的に、土日もほぼ研究と教育の準備に追われていますが、それでもなかなか追いつきません。やりたい仕事ややるべき仕事が山積みになり、いつも何かの期限や締め切りにおわれる日々です。まったくお金にならないものばかりですが...。ぎりぎりまで時間を使ってできるかどうかと、いつもはらはらしています。しかし、鈴鹿の山裾の菰野町に暮らす私は、山の緑や庭の木々の、季節の移り変わりに心癒され、ストレス解消してもらっています。写真はわが家の庭でこの季節に満開になるなんじゃもんじゃ(正式名:ヒトツバタゴ)です。