修了生の方へ・法友会 司法試験合格者の声
新海 諒河さん (2025年度合格)
2026年05月07日
私が司法試験で論文の力を伸ばすのに必要だと思ったことは主に次の3つです。
1つ目は、定義・規範等の正確な記憶です。法的な概念や論点を頭では理解していても答案に書ける形で文章化するのは難しく、また本番で基本的な定義や規範を考えている時間的余裕はないので、反射的にそれが書けるようになるまで正確に記憶に定着させる必要があります。私は定義や規範を定着させるために、朝と寝る前30分や1時間とか自分で時間を決めて、定義や規範を紙に書いたり、口に出して読んだりして積極的に記憶の時間を設けていました。こういった作業は無味乾燥で本当に苦痛ですが、意識的にこういった時間を設けずに、ずっと起案の都度教科書などを参照して書いているようだと、全然記憶として定着しないので論文がなかなか書けるようにならないと思います。
2つ目は、受験生のレベルの相場感をつかむことです。司法試験の問題には、受験生の多くが知っているような典型問題とほとんどの受験生が知らない現場思考問題があります。司法試験は相対評価の試験ですので、周りの受験生が書けない現場思考問題は自分もうまく書けなくても合否にあまり影響しませんが、逆に受験生みんなが書ける典型問題で書き負けると致命傷になってしまいます。典型問題は書き負けないように厚く書き、現場思考問題は考え込んで時間を浪費しないよう無難に済ませるというように、周りの受験生のレベルの相場感を意識して答案でメリハリを付けることが重要だと思います。
3つ目は、配点を意識することです。科目にもよりますが、司法試験の問題には設問ごとに配点割合が示されています。配点を意識するとは、自分の筆力から逆算して、配点割合に従って設問ごとにあらかじめ書く枚数の目安を付けておくことです。具体的に言うと次のようになります。私の場合は、答案1枚書くのに15分前後かかっていました。司法試験は一科目120分ですので、仮に答案構成が30分で終わったとしたら、残り90分答案の作成に当てられることになります。15分で1枚という上記の私の筆力からすれば単純計算で全部で6枚書けることになります。そして、設問1と2の配点割合が1:2だとしたら、この割合に従って6枚を設問ごとに割り振って、設問1で2枚、設問2で4枚くらいとあらかじめ書く枚数の目安を付けます。この場合に、設問1が分かるからといって3枚、4枚とか書くのは明らかに書きすぎで配点の高い設問2が途中答案になってしまいます。司法試験は試験時間が相当シビアですので、私も途中答案にはかなり悩まされましたが、このように配点を意識することで、途中答案を減らすことができました。また、必然的に配点の高いところをたくさん書き、少ないところで控えめに書くことになるので、得点効率が上がります。さらに、配点の高い設問は論じるべき事項が多いはずなので、配点の割に答案構成がスカスカだったら何か論点を落としているのではないか、という推測が働くため、答案構成の段階で論点落としに気づきやすくなります。このように、配点を意識するだけで、途中答案の防止、得点効率の向上、論点落としの感知という3つのメリットがあり、一石三鳥なのです。