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吉田信先生の著書『オランダ植民地統治と法的住民区分の変遷―国籍法と統治法による植民地住民の包摂と排除』が出版されました。
2025.04.17
◆吉田 信先生より
オランダといえば,風車と運河にチューリップ,ハウステンボスやミッフィーを連想する人が多いでしょう。あるいは,鎖国の江戸時代を通じて,出島を窓口にただ一つ交渉が認められていた西欧の国というイメージを持つ人もいるかもしれません。そのオランダは,実は東西両インドに植民地を有する帝国でした。この本は,そのうちの東インド,現在のインドネシアでオランダがどのような支配の仕組みを編み出していったのかを歴史的にたどったものです。ポイントとなるのは,「ヨーロッパ人」と「原住民」というカテゴリーを法律で定め,それに基づいて支配をおこなったことでした。
人種や宗教の異なる人々を支配するために作り出した「ヨーロッパ人」と「原住民」というカテゴリーの背景にどのような基準が存在し,変化していったのか(鎖国を解いた日本もここに関係してきます)。「ヨーロッパ人」と「原住民」との間に生じた婚姻や,その間に生まれた子どもはどちらに属したのか。なにより植民地の住民は「オランダ人」とみなされたのか。こうした疑問を解き明かしていくのが,この本にあたえられたミッションです。
内容は学部生の皆さん向けではないのですが,本には植民地の社会を写した興味深い図版を収めています。まずは図書館で手にとって図版だけでものぞいてみてください。
『 オランダ植民地統治と法的住民区分の変遷―国籍法と統治法による植民地住民の包摂と排除』
出版社 : 晃洋書房
発売日:2025年3月30日
吉田 信先生 著