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ドイツ歴史研究
| 科目名 | ドイツ歴史研究 |
|---|---|
| 担当教員 | 齋藤 敬之 |
| シラバス | 2025年度:ドイツ歴史研究 |
| 日時 | 2025年度:第2クォーター(6月~7月)全14回 |
授業概要
ドイツを含めたヨーロッパではおおよそ16世紀から18世紀にかけての「近世」という時代に近現代に直接つながる歴史的展開が見られるという点で、歴史研究の理解は一致しており、この時代に関するさまざまな議論がなされています。この授業では、ドイツの政治や宗教、社会に関わるいくつかのテーマを取り上げ、こうした研究上の議論を紹介します。それによって歴史研究の動向の一端を知るとともに、「近世」という時代の特徴を考えます。
授業の内容
「近世」に当たる時代では、「宗教改革」や「三十年戦争」、「絶対王政」、「主権国家体制」といった世界史の教科書にも取り上げられるテーマも多く、それ以外にも歴史研究で成果や議論が蓄積されてきたテーマもあります。授業担当者の研究テーマもこの時代を対象としていることもあり、自身の研究も紹介しながら、世界史の教科書の記述とは異なる見方やそこには表れない見方を取り上げ、数百年前のドイツやヨーロッパについて新たな見方を知ってもらう機会としています。
この授業は講義科目ではありますが、授業中に資料や地図の解釈に関する課題に回答してもらったり、当時のドイツ語のアルファベットを解読してもらったりすることで、歴史研究への関心を高めてもらうようにしています。
学生の感想・コメント
- ドイツ歴史研究という名前から、高校時代の世界史で学んだドイツ史の応用なのではないかと考え、理解できるのかどうか不安でした。しかし、この授業では史実を学ぶのは勿論ですが、それら歴史的な出来事についての実情を確かめ、身構えることなく教科書に載っていることよりも深くまで学ぶことができました。また、歴史研究のあり方について勉強することができ、歴史の見方が変わりました。
- 教科書で習う世界史とはまた違った歴史研究者からの観点が多く取り上げられており興味深かった。「この表現は本当に正しいのか」という問いに対しては今まで私は歴史を暗記科目のように扱っていたために全く意識していなかったものの、些細な表現方法が重要であると気づき、様々な情報を批判的に読む力が養われたと感じた。
- 高校までで勉強していた歴史は、なぜ教科書にこう書いてあるのか、なぜこういう解釈がされているのか、ということについて触れることなくただ暗記する科目というイメージが少なからずありました。そのため、この授業では、知識や史料をもとに自分なりに歴史を解釈していいという姿勢がとても新鮮で、歴史研究に少し触れられる機会になったと思います。
- 授業の最後に歴史学に終わりはないという言葉があったが、授業を通してそのことがよく理解できた気がする。事実としてあった出来事や発布された法、文書をどう位置づけるのか、それによって歴史のすがたや意味は180°変わることがあるのだと知った。
- 高校の世界史の知識がある前提で授業が進み、聞き馴染みのある単語が出てくる中で、点と点が線でつながるような「そういうことだったのか」という体験が多かった。当時の法律の詳しい内容を掘り下げることで、実際の当時の人々の暮らしととそれが描写する社会の状況がどのようなものだったかを考えることは面白く、新しい世界史の授業のように感じた。基本的に講義形式の授業だが、スライドには資料や画像が多く載っているので面白い。また、授業内のチャットでの意見交換を通して得る学びも多く、自分と違う意見がたくさん集まることもあるので面白かった。歴史に関する思考力が鍛えられる授業だったと思う。
- 高校までは主な出来事や歴史の流れとか年号とかを勉強するもので、その当時の時代背景まで深堀したことがなかったから新鮮だったしすごく興味深かった。一つ一つの出来事を歴史の中の一つの事実として覚えるようなイメージだったが、この授業ではどうして?なぜ?起こったの、その結果は?とかを考えることによって流れをすごく意識できたし背景に踏み込んでいく感覚が面白かった。
- 高校の世界史の内容からドイツの歴史にフォーカスして深掘りするのかと思っていたけれど、ドイツの歴史を通して歴史研究について垣間見ることができたと思う。私はドイツ語を専攻していないけれど、実際の古文書の画像にある文字を読んでみようという時間があったり、そのほかにも画像資料が豊富で、口頭での解説やレジュメとともに見るととても理解しやすかった。レジュメやスライドだけではわからないところも、細かくユニークな例を出しながら解説してもらえたので、高校の世界史よりももっと深掘りしたドイツの歴史を知ることができたのではないかと思う。
- 歴史研究という講義名なだけあり、高校の世界史よりもより深く細かく歴史を学べる講義だったと思います。ただ過去の出来事を知るだけでなく、当時の状況や出された条令などに対する研究者の批判的意見なども知ることができ、そこからなぜ批判されているのか興味も湧いたので学びをより深めることができました。
担当教員のコメント
この授業では、高校までの歴史学習を越えて、「歴史を研究する」ことに関する新たな知的刺激を得てもらうことを目指しています。
授業では当時のドイツ語史料なども提示していますが、「何回も見ているうちに以前よりもアルファベットがわかるようになってきた」といった感想も持ってもらい、こちらとしても充実感を覚えることもしばしばです。