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ドイツ学科、ヨーロッパ研究センター主催レクチャーコンサート「ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツとバロック音楽の表現技法」
2023年12月18日
2023年11月23日、学内のフラッテンホールにて、レクチャーコンサート「ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツとバロック音楽の表現技法」を開催しました。講師は、フラウト・トラヴェルソ奏者のMarion Treupel-Franck氏とチェンバロ奏者のIlhae Kim氏(いずれもミュンヘン国立音楽大学講師)です。
2023年に没後250年を迎えたヨハン・ヨアヒム・クヴァンツは、 フリードリヒ大王のフルート教師を務めた人物として広く知られています。作曲家であると同時にヨーロッパ屈指のフルート奏者であった彼は、 1752 年に自身の著書『フルート奏法』を出版しました。この著作は、楽器演奏の指南書であるのみならず、聴き手の心に届く響きと表現、それぞれの調がもつ性格についてなどの説明を含んでいます。レクチャーでは、クヴァンツの生涯と活動の背景の説明に続き、彼の著作の装飾に関する部分が紹介され、「アフェクト」の表出が綿密に理論化されていたことが実演とともに示されました。
コンサートの中盤では、フラウト・トラヴェルソとチェンバロについての丁寧な説明と独奏も行われ、参加者たちはそれぞれの楽器の響きや表現の可能性について理解を深めることができました。さらに、ゲオルク・フィリップ・テレマンやゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル、マラン・マレなどの作品が作曲家に関するエピソードとともに紹介され、バロック後期の音楽の多様な魅力を味わうことができました。
今回のレクチャーコンサートでは、クラヴサン工房アダチ(名古屋市名東区)様にご協力いただき、安達正浩氏製作による二段鍵盤チェンバロ(フレンチモデル)を使用させていただきました。その繊細で味わい深い音色はもちろんのこと、楽器の美しい佇まいにも参加者は大いに魅了されたようでした。
フラウト・トラヴェルソやチェンバロの実演に初めて触れた参加者も多かったようですが、「この心地良い響きをもっと聴いていたい!」という声が数多く聞かれました。また、Treupel-Franck氏のレクチャーにはKim氏による的確な通訳が添えられましたが、ドイツ語の多くを理解できたことに日々の学習の成果を感じたドイツ学科の学生もいたようです。
皆さんの学びは、たくさんの美しく価値ある世界につながっています。ぜひ大学時代にいろいろなものに触れ、学ぶ喜びを実感してください。
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