学科イベント 講演会・ワークショップ
ドイツ学科、ヨーロッパ研究センター主催講演会「ヴァルザーの言葉/クレーの絵:メディアを横断する芸術創造」
2023年10月17日
2023年10月9日に、ドイツ学科とヨーロッパ研究センターの共同主催による講演会「ヴァルザーの言葉/クレーの絵:メディアを横断する芸術創造」を開催しました。講師には、若林恵氏(東京学芸大学教授)と柿沼万里江氏(パウル・クレー・センター美術史専門研究員)をお招きしました。
講演の前半では、ローベルト・ヴァルザーとパウル・クレーの生涯と創作の特質、特にそのメディア横断的性格について解説していただきました。キャリアの点では大きく異なる生涯を歩んだようでありながら、両者の創作には共通する視点を指摘し得ることが、具体的に示されました。
若林 恵氏
講演の後半では、2018年に刊行された詩画集(『日々はひとつの響き ヴァルザー=クレー詩画集』柿沼万里江編、若林恵、松鵜功記訳、平凡社、2018年)から、ヴァルザーの詩とクレーの作品が紹介されました。この詩画集では、ヴァルザーの詩の日本語訳に、響きあう内容や性格をもつクレーの作品が添えられています。講演においては、詩の翻訳における工夫や作品選択の背後にあった考えなども示されました。
柿沼 万里江氏
講演の最後には、ヴァルザーとクレーを結びつけるアイディアが東日本大震災のチャリティーイベントに端を発していること、詩画集の出版を経て、このプロジェクトがまた新たな展開を迎えようとしていることも語られました。学生たちは、ヴァルザーとクレーの作品の魅力に加えて、様々な人々が関わり合うことによる研究活動の発展の面白さも感じ取ったようです。ドイツ語圏の芸術の興味深い側面が数多く紹介されたこの講演は、卒業論文のテーマ選択や、個々の学生の卒業後の芸術との関わりにおいても、また新しい展開を見せることでしょう。
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