短期大学部紹介 星の王子さま
No.19 こだま―王子の勘違い
2012年12月20日
王子は、今度、高い山に登って「住んでいる人間みんな」を見ようとします。そして、とがった岩山の頂から、誰かが答えてくれるのを期待しながら、呼びかけます。「こんにちは」「友だちになってよ」「ぼく、独りぼっちなんだ」。それでも帰ってくるのはオウム返しするこだまだけ。こだまを人間だと勘違いした王子は「人間たちにはまるで想像力がない」と嘆きます。言われたことを繰り返すだけならそれは人間ではない、という思いが王子にあるのでしょうか。同時に、このとき彼は気付きました。自分の星に残してきた「花は自分から話しかけてくれていたのに・・・」。懐かしさと後悔のまじった感情が「・・・」で表現されているようですね。
相手の言ったことをそのまま繰り返すこと。これは、ちょうどカウンセラーがそうするように「私はあなたの言っていることをちゃんと受け止めていますよ」というサインにもなります。その場合は、機械的ではなく、心が込められているはず。「あいづち」のように、大切にされている、と実感させる繰り返しはいいものですね。
市瀬英昭