短期大学部紹介 星の王子さま
No.20 成長のための<痛み>
2013年04月15日
とがった高い山を下りて砂漠や岩山や雪の中を歩き続け、王子は、今度は5千本ものバラが咲き乱れている庭に入りました。それは星に残してきた一輪のバラとそっくりの花たち。「私たちはバラですよ」と答える花たちを前にして、王子は言葉を失います。「Ah!」。自分のバラを「特別」と思っており、実は、それが「普通の」ものだとわかったときのショック。「ええっ、そんな!」「まさか!」。
成長のプロセスの痛み。自分の父親あるいは母親が「世界一!」だと信じている幼い子どもは、成長するにつれて、両親も普通の人間であったと気付きます。これが、反抗期と重なる場合は、確かに辛いものがあります。それでもそこは終わりではないようですよ。もうしばらくすると(自分が両親と同じような歳になると)、欠点や短所や失敗ということも含んで、彼らが自分を生み育んでくれた「かけがえのない人たち」であったことに気付いて、別の意味で「世界一!」と言えるようなときがやって来ます。でも、そのためには、「相対化のプロセス」を経る必要があるようですね
王子は、草むらにうつ伏して泣き出しました。
市瀬英昭