短期大学部紹介 星の王子さま
No8 「大切なこと」って何
2011年12月12日
生きて帰るために、飲料水も少なくなったギリギリの状態で飛行機の修理という「大切なこと」に取り組んでいるパイロットに、王子は突然「ヒツジが小さな木を食べるんだったら花もたべるんだろうね?」と尋ねます。彼はそれどころではないので適当に返事をしますが、これが、王子の怒りを買います。王子は彼に向って、自分にとって大切で大事なことは何かを捲くし立て、こう続けます。「もし誰かが、たくさんの星のうちの、一つの星だけに咲いている花を愛しているとしたら、それだけで星を眺めるとき幸せになるんだ・・その花をヒツジが食べてしまったとしたら・・それが大事なことではないっていうの!」。そして、言葉に詰まり、泣きだします。
彼は王子が大事にしていることに気づいたのでしょうか。修理の道具たちを手放して、その子を慰めようとします。生存することよりも大事なことがある、と予感したのでしょうか。「ハンマーもボルトも、渇きや死さえも、もうどうでもよかった」。パイロットの価値観が変わっていきます。
人は何によって幸せになるのでしょうか。「人生に意味を与えるものは何か」というテーマが一瞬、垣間見える「大事な」一章ですね。
市瀬英昭