短期大学部紹介 星の王子さま
No.7 「ひとり」ということ
2011年11月09日
この本の中で、王子さまの絵が後ろ姿で描かれている個所は三か所あります。
一つは最後に砂の上に倒れるシーン(26章)、一つは地球に降り立ってとがった岩の上で友だちに呼びかけるけれど「こだま」しか返ってこない箇所(19章)。そして一つは椅子に腰掛けて夕日を眺めているところです。「ねぇ、分かる?・・心が本当に悲しいとき、人はだれだって夕日をみたくなるものなんだよ・・」(6章)。
これらすべてのイラストが、「かなしさ」とか「さびしさ」や「わびしさ」の雰囲気をかもしだしています。この本では、言葉だけでなく、絵も大切なメッセージを担うものとなっているようです。これらの絵をじーっと眺めていると、いろんなことが心に浮かんできますよね。
ところで、孤立と孤独は違うと言われます。孤立はまさに他から切り離されて立っている状態で、ネガティブな意味を持っていますが、孤独には少し異なったニュアンスがあるようです。ひとりであるけれど、だからこそ、もうひとりを求めてやまない姿、といったらいいのでしょうか。そういう気持ちを味わいながら、人間として成長していくのかもしれません。
市瀬英昭