短期大学部紹介 星の王子さま
No.4 つなげる力は愛する力
2011年06月29日
この小さな子がどこから来たのか分かるには時間がかかりました。質問しても答えてくれないからです。それで、飛行士は、仕方なく、二人の間のちょっとしたやり取りや仕草から推測することになります。砂漠に不時着した飛行機を指して「このモノは何?」と聞くと男の子は、「おじさんも空から落ちてきたの、どの星から?」と尋ねます。その言葉から、逆に、この子がどこかの星から来たのだと分かる、という具合です。こうして「小さな王子」は、日本では『星の王子さま』と名付けられました。
質問には答えない代わりに、自分からはどんどん質問する王子さまは、どうやら心の中で別のことを思い巡らしている様です。長い沈黙の後、描いてもらったヒツジの絵をポケットから取り出して「宝物」を見つめるようにじーっと眺めています。一体、何を思っているのでしょうか。この調子では、この子の星がどんな星なのか、なぜヒツジなのか、などが分かるには、まだ時間がかかりそうですね。
待つこと、あせらないこと、そして、なによりも、少ない材料でもそれらを「想像力でつなげて」いって、相手の考えていること、求めているものを分かろうとする。それらは「愛する」とも言い換えられます。
市瀬英昭