短期大学部紹介 星の王子さま
No.1 『星の王子さま』に触れる
2011年05月19日
心に残る贈り物とは何でしょう。欲しかった「もの」がプレゼントされて嬉しいこともありますが、メールや電話や手紙で「ことば」をもらって嬉しかった経験はありませんか。
1943年4月6日、アメリカ合衆国ニューヨークで『星の王子さま』が出版されました。著者サン=テグジュペリは、この本を22歳年上であるフランス在住のユダヤ人のレオン・ウェルトに献呈し、本文に入る前の献辞にその理由を書いています。彼が自分にとっての「親友」で何でも「わかる」人であり、今、フランスで「ひもじい思いや寒い思いをしている人」なのでこの本を贈ります、と。困難にある人を慰めるために、「ことば」をプレゼントしています。最後には、子どもたちにも読んで欲しいという気持ちを表わすためでしょうか、この献辞を、「子どもだった頃のレオン・ウェルトへ」と書き改めています。
『星の王子さま』は、単なる童話ではなく、私たちがこの現実を人間として生きていくときに必要になることがらを考えさせてくれる本です。出会いと別れ、関わりと友情、愛と責任など、普段は考えないけれど大切なテーマが扱われています。そして想像力を使って「心で読む」ように私たちを誘っています。
市瀬英昭