短期大学部紹介 星の王子さま
No.2 わかり合うことを求めて
2011年05月30日
「これ、こわくない?」。象を丸ごと飲み込んだ大蛇を描いたつもりの小さかった頃の作者は、大人たちにたずねます。子どもには、前後の脈絡なしにいきなり話しかける、という特徴があるようですね。そのとき、大人は、驚いたり、困ったり、軽くあしらったりすることが多いのですが、このときも、外側しか見ない大人たちは「そいつぁ、ぼうしだ」と答えて、子どもをがっかりさせます。
作者は年を重ねてからも、そのような本当に「中身を見ることのできる人」を探し続けますが、なかなか見つかりません。それで彼は、仕方なしに、「ブリッジ遊びや、ゴルフや、政治や、ネクタイの話」をして、「ものわかりのよい人間」として生きてきました。心の中では違うことを求めながら。本当はもっと大切なことを話したいのに・・・と思いながら。
そんなときに、「わかるよ」と言ってくれる人がいると嬉しいですね。言葉で言ってくれなくてもいい。「うなずいてくれる」だけでいいんです。「うん、わかるよ」。
愛は地球を救う、というキャンペーンがありますが、そんなに大げさでなくてもいいです。「<あいづち>は人を救う」。そう思いませんか。「わかり合える」友人を持つことは、生きていく中での一つの大きな幸せと言えるでしょう。
では、そのような「出会い」は、どのようにして可能となるのでしょうか。
市瀬英昭