一緒に過ごし、いろんなことを語り合った一週間も終わりに近づきました。不安を隠せない様子で「君のそばを離れないよ」と繰り返すパイロットを気遣いながらも、「ぼくは、あの花に対して責任があるんだ」と言い残し、王子は、黄色い光に毒をもらって、砂の上に音もなく倒れます。

直前に、「ね、とてもいいことなんだよ」という王子の言葉がありますが、これは身体的、物理的に離れることについて言っているのではないでしょうか。別れを悲しむパイロットを慰めようとして、別れても、身体的には見えなくなっても、決して「なくならない絆」が僕たちにはある！と。そう言って、王子も泣きます。別れによっても人は成長する、あるいは、絆がより深くなる、ということでしょうか。

王子が弓なりになって砂の上に倒れる場面に、星が一つ描かれています。ちょうど「迎えに来ましたよ」とでもいうように。王子は星に帰りました。王子と別れた私たちの心には何が残ったでしょうか。

市瀬英昭