短期大学部紹介 星の王子さま
No.28 「見えないものを見る術」という贈りもの
2014年11月06日
別れが近づいています。王子は「さびしそうに、にっこりしました」。怖い思いをするはずなのに「静かに笑っています」。この章には、笑う、笑い声という単語がたくさん出てきます。涙を流しながらもほほえむことのできるのは何故でしょうか。それは、別れの辛さの中にあってもそれを超える何かを実感できるからではないでしょうか。相手のパイロットの中に、自分がいなくなっても決してなくならないものが確かに残る、と信じているからではないでしょうか。そして、それは誰からも奪われることのないその人の「心の宝」となって、生きていく力を与えてくれるのでしょう。王子がパイロットに差し出した贈り物。それは、みんなが同じように見ているものを「違った眼で見る」という秘訣。
「人間はみんな、ちがった目で星を見てるんだ」。案内者、小さな光、研究対象、金貨・・。 でも、「ぼくが住んでいる星」として見ることができたら、嬉しくなるよ、と王子はパイロットに言い残します。
星だけでなく、出会う人たち身の回りに起こる出来事を、私たちはどのように見ているでしょうか。肉眼では見えない大切なものを心の眼で見るように、そして、それを生きていく力にするように、と王子は私たちにも呼びかけているようですね。
市瀬英昭