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arrow 専門分野

環境経済学、応用計量経済学

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arrow 経済成長と環境

 経済発展と環境の関係性については「環境クズネッツ曲線仮説」が有名です。この仮説は、「経済発展の初期から中期段階においては経済成長に重点が置かれ、汚染水準は経済成長に伴って悪化する。しかし、経済発展がある水準を超えると、環境を守りたいという意識が強まり、環境政策の実施あるいは環境技術の開発・導入等が行われ、汚染水準が低下し始める」という仮説です。すなわち、横軸に所得、縦軸に汚染水準を取った時に、両者の関係はU字を上下逆にした、逆U字型の曲線を描くという仮説です。
 この分野の先行研究の蓄積は大変多く、1990年代から膨大な研究が存在しています。先行研究の結論は「水質汚染、地域的な大気汚染等の環境指標については環境クズネッツ曲線が成立しやすい。しかし一方でよりグローバルな環境指標、たとえば二酸化炭素(地球温暖化の問題)やエネルギー使用量(資源枯渇の問題)については仮説が成立しない」というものです。これはすなわち、健康被害が自分自身に及ぼされる危険性が高いほど汚染削減のインセンティブが働きやすいという傾向、そして将来世代に影響が及ぼされる問題についてはまだまだ問題解決のインセンティブは小さいという傾向が存在するということになるでしょう。
 ただ、上記の研究は所得と汚染水準の関係に注目をしており、経済発展を「所得」という代理変数だけで捉えています。当然のことながら、経済発展によって変化するものは所得水準だけではありません。経済発展によって変化する所得以外のその他の重要な要素についても考慮に入れた研究が必要になるでしょう。たとえば、所得水準だけでなく、経済規模の影響というものもあるかもしれません。一国の経済が世界経済に及ぼす影響が大きいほど、その国の環境に対する取り組みには責任が生じてくる可能性があります。たとえば、中国は所得水準は日本より小さいですが、経済規模では日本を超える段階にまできており、環境に対する取り組みに責任がおのずと生じてきています。あるいは産業構造が変化していく可能性もあります。通常、経済発展に伴って労働集約的な産業(農業等)と資本集約的な産業(製造業等)の一国における割合は変化していきます。汚染水準はこうした産業構造の特徴によっても変わってくるでしょう。あるいは、二酸化炭素については、同じ所得水準の国が二つあったとしても両国が用いている1次エネルギーの構成は異なるため、水力や原子力といった二酸化炭素排出への影響が小さいエネルギーを用いるほど二酸化炭素排出量は少なくなります。以上のような、所得以外の重要な要素を考慮に入れ、また、先行研究の統計的な手法をより改善させることで、「経済発展と環境」の関係性をより説得力のある形で示していくことがこのテーマの目指すところです。

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経済成長と環境、環境クズネッツ曲線仮説

arrow 関連論文・著書

Tetsuya Tsurumi, Shunsuke Managi. 2015. Environmental Kuznets Curve: Economic growth and emission reduction, S. Managi (Eds.) The Economics of Green Growth -New Indicators for Sustainable Societies, Routledge, New York, USA. (forthcoming)

Qi, Y., S. Managi, and T. Tsurumi. 2012. "Effectiveness of pollution control policies in China”, book chapter, Lincoln Institute.

Tsurumi, T. and S. Managi. 2010. "Decomposition of the environmental Kuznets curve: scale, technique, and composition effects" Environmental Economics and Policy Studies, 11: 19−36.

Tsurumi, T. and S. Managi. 2010. "Does Energy Substitution Affect Carbon Dioxide Emissions-Income Relationship?" Journal of The Japanese and International Economies, 24(4): 540−551.

Tsurumi, T. and S. Managi. 2009. "World Emissions and Economic Growth: Application of Nonparametric Methods." International Journal of Global Environmental Issues 9(1/2): 69-83.

Kaneko, S., S. Managi, H. Fujii, and T. Tsurumi. 2009. "Does an Environmental Kuznets Curve for Waste Pollution Exist in China?." International Journal of Global Environmental Issues 9(1/2): 4-19.

鶴見哲也,馬奈木俊介. 2012. 経済成長と環境(分担) 『環境経済学』 ミネルヴァ書房 (編:細田衛士)(印刷中)

鶴見哲也, 馬奈木俊介, 日引聡. 2008. 環境クズネッツ曲線仮説の再検討, 計画行政. 31(2): 37-44.


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arrow 貿易と環境

 一見すると分かりにくい貿易と環境の関係性ですが、貿易は経済と強い関係性を持つことは理解が容易だと思います。たとえば、日本の輸出額と輸入額の合計は100兆円を超えています。これだけの規模の経済活動が貿易によって行われることで、一国の経済には少なからぬ影響が及ぼされます。貿易自由化の議論が進む現在にあっては、このテーマの重要性はより高まっています。経済学の先行研究では貿易の自由化は経済成長につながるという結論でコンセンサスがとられつつあります。
 一国の経済活動が環境に与える影響は三つに分けて考えることができ、それらは規模効果、技術効果、そして構造効果と呼ばれています。ある国の汚染削減技術と産業構造が一定であるならば、その国の経済規模増大は(生産量増加を意味するので)汚染増大に結びつきます。これが規模効果です。一方、ある国の経済規模と産業構造が一定ならば、所得の増大(すなわち環境意識の増大あるいは環境政策の強化)は(汚染削減技術の進展により)汚染減少に結びつきます。これが技術効果です。一方、ある国の経済規模と所得(技術)水準が一定ならば、産業構造(汚染集約産業の割合)が汚染量に影響します。これが構造効果です。経済発展はこれら三つの効果に影響を与えるものです。そして、貿易はこの経済発展に影響を及ぼすのです。すなわち、貿易の自由化は経済規模(規模効果)、所得(技術効果)、そして産業構造(構造効果)に影響を及ぼす可能性があります。貿易と経済発展、そして環境の関係性に関する理論モデルを構築し、その信頼性を実際のデータを用いた実証分析によって評価する、これがこのテーマの目指すところです。

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貿易と環境、貿易自由化、貿易と経済、経済発展、規模効果、技術効果、構造効果

arrow 関連論文・著書

鶴見哲也. 2015. 林業と貿易(分担)『農林水産の経済学』第12章, 中央経済社(編:馬奈木俊介)(印刷中)

Kagohashi, K., T. Tsurumi, and S. Managi. 2015. “The Effects of International Trade on Water Use”, PLOS ONE 10(7): e0132133. doi:10.1371/journal.pone.0132133

Tsurumi, T. and S. Managi. 2014. "The Effect of Trade Openness on Deforestation: Empirical Analysis for 142 Countries" Environmental Economics and Policy Studies. 16(4): 305-324.

日引聡, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 花崎直太, 2013. 気候要因が農作物貿易に与える影響に関する実証分析, 環境科学会誌. 26(3), 278-286.

鶴見哲也. 2013. 経済発展と森林―環境クズネッツ曲線の検討―, 南山経済研究, 27(3): 211-220.

Managi, S., A. Hibiki, and T. Tsurumi. 2009. "Does Trade Openness Improve Environmental Quality?" Journal of Environmental Economics and Management 58: 346-363.

鶴見哲也,馬奈木俊介. 2012. 経済成長と環境(分担) 『環境経済学』 ミネルヴァ書房 (編:細田衛士)(印刷中)

鶴見哲也, 馬奈木俊介, 日引聡. 2010. 国際貿易とエネルギー利用, 環境経済・政策研究. 3(2): 38-49.

鶴見哲也, 馬奈木俊介, 日引聡. 2007. 国際貿易と環境保護―浮遊粒子状物質を対象として―, 三田学会雑誌. 100(3): 109-127.


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arrow 環境意識の決定要因

 環境を守りたいという気持ちはどこから来るのでしょうか。あなたはなぜ環境問題を学ぼうとしていますか。著名な心理学者であるマズローは、人間の欲求を5段階で説明しています。そこでは人間はまず衣食住といった生理的欲求・安全欲求を満たそうとし、それが満たされたとき初めて他者との関係性、すなわち愛情欲求、さらには尊敬欲求や自己実現欲求の段階に入るとされています。経済成長の初期段階は人間の欲求の最初の段階を満たすものと考えられないでしょうか。生きるために最低限必要となる要素が充足させられるまでは環境意識は低い。一方で、ある程度の所得まで到達すると、周囲のことに目を向ける余裕が生じる。本研究テーマでは、環境意識の決定要因を考えていきます。その要因として所得は重要と考えられますが、それではすでに成長をある程度してしまっている先進国はもう環境意識は変化しないでしょうか。みなさんもおわかりの通り、先進国の中でも環境意識の強さには差が存在しています。この差の原因は何なのか。本研究テーマは所得を考慮に入れた上で、さらにどのような要素が環境意識あるいは環境行動に影響を及ぼすのかを考えることを目的としています。

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環境意識、環境行動、所得と環境意識、途上国の環境意識、先進国の環境意識

arrow 関連論文・著書

Tetsuya Tsurumi, Kei Kuramashi, Shunsuke Managi, Ken-Ichi Akao. 2015. Determining Future Environmental Value: Empirical Analysis of Discounting over Time and Distance, S. Managi (Eds.) The Routledge Handbook of Environmental Economics in Asia, Routledge, New York, USA.

鶴見哲也,倉増啓,馬奈木俊介. 2013. 幸福度と環境保護活動(分担)『グリーン成長の経済学―持続可能社会の新しい経済指標』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 2012. 国内でのサーベイデータを用いた幸福度と環境保護への支払意思に関する計量分析, 環境共生. 21: 30-37.

Tsurumi, T., K. Kuramashi and S. Managi, 2012. Determinants of Happiness: Environmental Degradation and Attachment to Nature, S. Managi (Eds.) The Economics of Biodiversity and Ecosystem Services. Routledge, New York, USA.(forthcoming)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介. 2011. 生物多様性保護における支払意思額(分担)『生物多様性の経済学』第5章, 昭和堂(編:馬奈木俊介, IGES)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介. 2011. 幸福度と環境保護への支払意思の関係性(分担)『生物多様性の経済学』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介, IGES)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 2011. 生物多様性保全に関する環境意識の決定要因, 環境科学会誌.24(4): 397-404.


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arrow 主観的幸福度

 「経済的豊かさは、生活満足度の上昇に結びついていないが、こうした現象は先進国に共通している」(2008年国民生活白書)。経済発展が生活満足度の上昇に結びつかない現状を受けて、新たな政策目標を考えていくために、国内総生産に代わる新たな目標とすべき指標の開発が様々な研究機関で行われるようになっています。たとえば、内閣府の国民生活選好度調査において、そのような取り組みが行われています。
 世界各国の一人当たり所得のデータを横軸にとり、アンケート調査によって得られた主観的幸福度指標(あるいは生活満足度指標)を縦軸にとると、ある所得水準までは所得の上昇の伴い主観的幸福度の増大傾向が見られます。しかし、一定の所得水準を超えると主観的幸福度の増大傾向はみられなくなることが知られています。したがって、所得水準がある程度のところまで達した場合には、所得水準以外の要因が主観的幸福度の決定要因となっている可能性があります。
 本研究テーマではこの所得水準以外の要因を明らかにすることを目指します。特に環境問題が主観的幸福度にどの程度影響を及ぼしているのかについて評価を行っています。これまでの我々の研究では、人体に悪影響を与える環境汚染の低減は主観的幸福度を増大させる可能性を有しているという結論が得られています。一方で、二酸化炭素排出量削減は主観的幸福度を高めるという結果は今のところ得られていません。「自分にとって身近な問題かどうか」という視点が重要ということになるのではないでしょうか。
 なお、「幸福であればあるほど環境問題に対する意識は高まるのであろうか」という議論も存在しています。たとえば、幸福度の高い人間はそうでない人と比べて他人に対してより優しいのでしょうか。自分に余裕があることで、他者のことも思いやる余裕が生じるのでしょうか。もしそうなのであれば、幸福度を高めることが環境問題の解決の一助を担うという議論も生じてくるかもしれません。

arrow キーワード

主観的幸福度、生活満足度、幸福のパラドックス

arrow 関連論文・著書

Tetsuya Tsurumi, Hideyuki Mizobuchi, Shunsuke Managi. 2015. A monetary evaluation of life: Life satisfaction approach, S. Managi (Eds.) The Economics of Green Growth -New Indicators for Sustainable Societies, Routledge, New York, USA. (forthcoming)

鶴見哲也,倉増啓,馬奈木俊介. 2013. 幸福度指標を用いた自然資本の金銭価値評価(分担)『グリーン成長の経済学―持続可能社会の新しい経済指標』第7章, 昭和堂(編:馬奈木俊介) 鶴見哲也,倉増啓,馬奈木俊介. 2013. 幸福度と環境保護活動(分担)『グリーン成長の経済学―持続可能社会の新しい経済指標』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介)

鶴見哲也, 倉増啓,馬奈木俊介, 2013. 幸福度アプローチによる金銭価値評価―主観的幸福度と原子力発電所―, 環境科学会誌 26(6), 571-578

Tsurumi, T., K. Kuramashi and S. Managi, 2012. Determinants of Happiness: Environmental Degradation and Attachment to Nature, S. Managi (Eds.) The Economics of Biodiversity and Ecosystem Services. Routledge, New York, USA.(forthcoming)

鶴見哲也. 2012. 主観的幸福度と環境意識―生物多様性保全に対する支払意志額を用いて―, 南山経済研究, 26(3): 147-160.

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介. 2011. 幸福度と環境保護への支払意思の関係性(分担)『生物多様性の経済学』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介, IGES)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 2010. 主観的幸福度指標と環境汚染:国内でのサーベイデータを用いた計量分析, 環境科学会誌. 23(5): 401-409.

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 2009. 幸福と環境水準〜主観的幸福度指標の適用〜, 環境科学会誌. 58: 346−363.


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arrow 住みよい街作り

(この文章は暫定版です(2012年3月29日))
2011年3月に起きた東日本大震災を受けて、将来の住みよい街作り構想が各地で考えられている。特に東北地方沿岸部では抜本的な街作り構想の見直しがなされようとしている。震災によって「人とのつながり」に注目が集まっており、また当然のことながら災害に強い街作りが求められるようになっている。従来より考えられてきた「東北発コンパクトシティ構想」を本気で考えるときが来ているのではないだろうか。コンパクトシティは人々のつながりを強める効果も期待されており、また、津波等の災害から安全な地域に居住地を集中させることも期待できる。さらには、車の移動を減らし、低炭素社会への貢献の可能性も有している。本研究テーマは将来の住みよい街作り構想に貢献することを目的としている。

arrow キーワード

震災、地震、津波、人とのつながり、コンパクトシティ、街作り、低炭素社会

arrow 関連論文・著書

準備中


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arrow 次世代自動車の普及

(この文章は暫定版です(2012年3月29日))
2011年3月に起きた東日本大震災を受けて、電源供給のあり方が見直されようとしている。太陽電池の普及方策と相まって、蓄電池による緊急時電源の確保は特に注目されている。こうした流れの中で、プラグインハイブリッド車あるいは電気自動車の蓄電池としての役割にも注目が集まっている。また、次世代自動車についてはいわゆるスマートハウスとの関連が重要とされており、関連の仕方次第で普及が加速する可能性も有している。
政府は中長期ロードマップにおいて2020年に25%、2050年に80%の二酸化炭素排出量削減を実現するために必要となる次世代自動車の普及台数目標を提示している。しかし、その普及に向けた具体策は明確にされていないのが現状である。普及可能性については費用と便益の両者を比較する必要がある。たとえば、費用に関しては、充電ユニットの整備、将来の技術進歩を踏まえた車体価格および維持費といった要素を考える必要があり、便益としては二酸化炭素排出量の減少、大気汚染の減少など環境面へのメリットが挙げられる。先行研究では費用が便益を上回る場合が多い。便益のほうが大きくなったとしてもその実現まで非常に長い年月が必要という研究が多いのである。本研究は先行研究で考慮に入れられていない便益を考慮に入れる。すなわち蓄電池としての可能性、スマートハウスとの連携など安定的なエネルギー需要に向けた便益を考慮に入れることを目指す。

arrow キーワード

エコカー、次世代自動車、スマートハウス、普及、費用便益分析

arrow 関連論文・著書

鶴見哲也. 2014. 次世代自動車の購入要因―ハイブリッド車および電気自動車に関する実証分析―, 南山経済研究, 28(3): 159-172.


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arrow 自然の価値

(この文章は暫定版です(2012年3月29日))
2012年6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)では「自然資本の価値」に関して議論が行われます。あなたは自然に囲まれて過ごしていますか。住んでいる場合、どの程度その価値を感じていますか。自然資本の価値が金銭価値で評価されれば、自然資本がGDPに取り込まれる日も来るかも知れません。リオ+20を契機に"beyond GDP"に向けた指標のあり方に関して国際的な議論が活発化することが予想されています。ここで自然の価値を評価する方法には幾つかの手法が考案されています。一つ目は環境評価手法の一つである仮想評価法です。この手法は仮想的な状態を仮定し、自然の価値を金銭評価しますが、この評価をアンケートで行う際、仮定が現実味を帯びない場合、人々が金銭評価をすること難しいという指摘があります。一方、人々にアンケートをとるのではなく土地の価格に自然の金銭価値を見出すヘドニック手法もあります。三つ目の手法として、主観的幸福度の研究枠組みで自然の価値を金銭価値として評価する手法が存在します。先行研究では大気汚染についてヘドニック手法で推計された被害額とこの主観的幸福度を用いた手法によって推計された被害額を比較したところヘドニック手法で得られた額のほうが小さいことが指摘されています。本研究テーマはこの森林資源を対象に、前述の三つ目の手法である主観的幸福度を用いた手法で自然の価値を計測します。

arrow キーワード

自然資本、自然の価値、リオ+20

arrow 関連論文・著書

Tetsuya Tsurumi, Hideyuki Mizobuchi, Shunsuke Managi. 2015. A monetary evaluation of life: Life satisfaction approach, S. Managi (Eds.) The Economics of Green Growth -New Indicators for Sustainable Societies, Routledge, New York, USA. (forthcoming)

鶴見哲也,倉増啓,馬奈木俊介. 2013. 幸福度指標を用いた自然資本の金銭価値評価(分担)『グリーン成長の経済学―持続可能社会の新しい経済指標』第7章, 昭和堂(編:馬奈木俊介) 鶴見哲也, 倉増啓,馬奈木俊介, 2013. 幸福度アプローチによる金銭価値評価―主観的幸福度と原子力発電所―, 環境科学会誌 26(6), 571-578


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arrow 生物多様性保全

 生態系の価値を我々はどの程度のものだと考えているのでしょうか。生態系の保護には長期的な視点が必要であり、たとえば地球温暖化と関連して、気候変動によってある地域の生態系が100年後に破壊される可能性がある、といった問題を考えていく必要があります。この問題を防ぐために、我々はいくらの対策費用を現在計上する意思があるのでしょうか。
 ここでは「気候変動」という不確定要素の存在と「100年後の生態系」という自分自身が生きてはいない将来世代の話である、という視点が重要となります。気候変動が確実に起きると仮定した場合に、我々はどの程度の価値を「100年後の生態系」に対して与えられるだろうか、という点を明らかにするのがこの研究テーマが明らかにしようとしている点です。
 本研究テーマでは、今を生きる我々にとって、「現在の生態系」、「20年後の生態系」、「50年後の生態系」、「100年後の生態系」、「200年後の生態系」の価値は異なるのだろうか、という点を明らかにすることを目指します。200年後の生態系を守るために、我々は今どれだけの対策費用を計上する意思があるのでしょうか。

arrow キーワード

生物多様性、表明選好法、支払意志額、純粋時間選好率、環境意識、将来世代

arrow 関連論文・著書

Tsurumi, T., K. Kuramashi and S. Managi, 2012. Determinants of Happiness: Environmental Degradation and Attachment to Nature, S. Managi (Eds.) The Economics of Biodiversity and Ecosystem Services. Routledge, New York, USA.(forthcoming)

鶴見哲也,馬奈木俊介. 2012. 森林資源とREDD(分担)『資源と環境の経済学―ケーススタディで学ぶ』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介)

鶴見哲也. 2012. 主観的幸福度と環境意識―生物多様性保全に対する支払意志額を用いて―, 南山経済研究, 26(3): 147-160.

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 2011. 生物多様性保全に関する環境意識の決定要因, 環境科学会誌.24(4): 397-404.

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介. 2011. 生物多様性保護における支払意思額(分担)『生物多様性の経済学』第5章, 昭和堂(編:馬奈木俊介, IGES)

倉増啓, 鶴見哲也, 馬奈木俊介. 2011. 幸福度と環境保護への支払意思の関係性(分担)『生物多様性の経済学』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介, IGES)


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arrow 森林

 森林資源は再生可能資源と呼ばれ、枯渇性の資源とは区別されます。すなわち、間伐や植林等によって管理・育成を行っていくことが可能です。生態系保護あるいは地球温暖化の議論と相まって、森林の価値に注目が集まっています。本研究テーマでは、森林資源量に影響を与える要因を明らかにすることを目指します。過去数十年の世界各国のデータを用いて、経済発展の過程において世界各国の森林資源量がどのように変化してきたのか、どのような要因で森林資源量が変動してきたのか、といった点を明らかにしていきます。
 なお、REDDの議論に代表されますが、従来から存在する森林破壊の議論に加えて、森林「劣化」の問題にも注目が集まっています。リモートセンシング(人工衛星)技術の発展を受けて、各国のバイオマス量のより正確な把握が急がれています。本研究テーマにおいても、森林資源量のデータの精度を見直しつつ分析を行っていきます。

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森林、再生可能資源、バイオマス資源、炭素吸収源、REDD、REDD+、リモートセンシング、再生可能資源と経済発展

arrow 関連論文・著書

Tsurumi, T. and S. Managi. 2012. "The Effect of Trade Openness on Deforestation: Empirical Analysis for 142 Countries" Environmental Economics and Policy Studies, forthcoming

鶴見哲也,馬奈木俊介. 2012. 森林資源とREDD(分担)『資源と環境の経済学―ケーススタディで学ぶ』第6章, 昭和堂(編:馬奈木俊介)


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arrow

 気候変動は気温や降水量を変化させ、世界の水資源利用可能量に影響を与えます。一方で経済成長あるいは経済のグローバル化は水を大量に必要とする産業(たとえば農業、製紙産業、半導体産業)の発展と相まって水需要を増大させる可能性があります。水需要が水資源利用可能量に迫る「水ストレス」の状態に陥れば、経済成長に悪影響を及ぼすことも考えられます。世界のいくつかの地域では将来の水不足が予想されています。本研究テーマは経済成長と水資源利用量の関係性、経済のグローバル化と水資源利用量の関係性、ひいては気候変動との関連性にも着目します。

arrow キーワード

森林、再生可能資源、バイオマス資源、炭素吸収源、REDD、REDD+、リモートセンシング、再生可能資源と経済発展

arrow 関連論文・著書

Kagohashi K., T. Tsurumi, T. and S. Managi. "Trade openness, water scarcity and economic growth" (準備中)


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arrow バーチャルウォーター

underconstruction

arrow キーワード

バーチャルウォーター、ウォーターフットプリント、気候変動、貿易、経済成長

arrow 関連論文・著書

Kagohashi, K., T. Tsurumi, and S. Managi. 2015. “The Effects of International Trade on Water Use”, PLOS ONE 10(7): e0132133. doi:10.1371/journal.pone.0132133

日引聡, 鶴見哲也, 馬奈木俊介, 花崎直太, 2013. 気候要因が農作物貿易に与える影響に関する実証分析, 環境科学会誌. 26(3), 278-286.

Hibiki A., T. Tsurumi, S. Managi, N. Hanasaki. Effects of Climate change on Virtual Water(準備中)


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arrow 望ましい環境規制のあり方

 環境規制は通常、対策費用を必要とさせ、そのコストによって経済に悪影響を与えるといわれています。先行研究においても汚染削減費用は経済に悪影響を与えるという研究がほとんどです。一方で、「ポーター仮説」に代表されますが、厳しい環境規制は製造工程を根本から見直す機会にもなり製造コストの低下につながる場合がある、あるいは技術革新を促す可能性があるという考え方もあります。ある種の環境規制はその国の競争力を高める可能性もあるといわれているのです。
 さて、データを用いた実証研究の分野では、環境規制が厳しい場合に経済に良い影響が及ぼされる可能性を示唆するものは少ない状況にあります。しかし注目すべきことに、一部の先行研究ではその可能性が示されているのです。ただ、さまざまな結論が提示されているものの、その結論にはコンセンサスが得られておらず、この分野の研究のさらなる蓄積が望まれています。
 本研究テーマでは様々な環境政策の指標を用いて、それらの環境政策が経済におよび貿易に及ぼす影響を検討していきます。そのことによって、ある環境政策は経済に悪影響を与えるが、別の環境政策は好影響を与える、といった違いを明らかにし、経済に悪影響を与えない環境政策を特定化することが本テーマの目指すところです。

arrow キーワード

環境規制、環境政策、汚染対策費用、国際競争力、ポーター仮説

arrow 関連論文・著書

Tsurumi, T., S. Managi, and A. Hibiki. “Do Environmental Regulations Increase Bilateral Trade Flows?”, The B.E. Journal of Economic Analysis and Policy (forthcoming)

Qi, Y., S. Managi, and T. Tsurumi. 2012. "Effectiveness of pollution control policies in China”, book chapter, Lincoln Institute.(forthcoming)


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